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「NPO」の認知度は8割超、しかし印象は「良くも悪くもない」詳しいことは知られていない実態が浮き彫りに「NPOについての若者認知度・イメージ調査 2014年度版」

2015.03.24 

「ソーシャルビジネス」・「社会起業家」の認知度調査に引き続き、NPO法人ETIC.は、「NPO」についても認知度とイメージを調査しました。 20代・30代の若者は、NPO(NPO法人)についてどの程度知っており、どんな印象を抱いているのか。

今回も、株式会社セレス(所在地:東京都港区、代表取締役社長・都木聡さん、以下セレス)の協力を得てインターネットリサーチを実施。アンケート対象者は、同社が運営するポイントサイト・モッピーの登録者から抽出した、全国の20代・30代の男女1,020名です。

< 調査結果の要約 >

  1. 全体の8割以上の若者が「NPOを知っている」。また、全体の約2割は「内容まで詳しく知っている」
  2. 最も認知度が高い男性20代では、およそ4人に1人(26%)が「内容まで詳しく知っている」
  3. 「良い印象」を持っているのは全体の約3割。一方「悪い印象」を持っている人は約1割であった。

< 調査方法 >

調査方法:インターネットによる調査

調査対象:全国の20代・30代の男女1,020名(セレスが運営するポイントサイト・モッピー登録者から抽出)

対象者構成:男性20代254名、30代250名、女性20代259名、30代257名

調査時期:2015年1月15日(木) - 22日(木)

実施機関:NPO法人ETIC.

アンケート実施協力:株式会社セレス

集計・分析協力:宮本裕子

1. 男性20代のおよそ4人に1人は、NPOについて「内容まで詳しく知っている」

問:「NPO」という言葉を知っていますか。 NPO認知度調査 アンケート結果によると、「NPOを知っている」若者は8割を超えています。また、全体の約2割は「内容まで詳しく知っている」。30代よりも20代のほうが、そして女性よりも男性の方が、NPOについてよく知っている傾向があります。驚きなのは、最も認知度の高い男性20代。なんと26%、およそ4人に1人が「内容まで詳しく知っている」と答えています。

2. 「良い印象」は約3割、「悪い印象」は約1割

問:「NPO」の印象についてお答えください。(複数回答、集計ベースは前問で「内容まで詳しく知っている」または「聞いたことがある程度」を選んだ回答者) NPOの印象 前問で、NPOへの認知度が8割ということがわかりました。では、彼・彼女らは、NPOへどんな「印象」を持っているのでしょうか?

ここでは、いったん回答にある「良い+まあ良い」を"良い印象"、「悪い+まあ悪い」を"悪い印象"として考えてみます。 全体のおよそ6割が「どちらともいえない」と回答しています。そして約3割ががNPOに「良い印象」を、約1割が「悪い印象」を持っているようです。

年代差についてはNPOの場合とよく似た傾向がみられ、30代よりも20代のほうが「良い印象」が多くなっています。男性について比べれば、20代で48%(約半数!)が「良い印象」なのに比べて、30代では27%(4人に1人)。

さらに詳しく、NPOのイメージについて自由記述で答えていただきました。多種多様な読み応えのある回答がみられましたが、数が多かったものを抽出・分類して紹介します。

3. 大半はNPOについて「よく知らない/わからない」

問:「NPO」に対して、どのようなイメージを持っていますか。どんなことでも構いませんので、ご自由にお書きください。(自由記述、集計ベースは前々問で「内容まで詳しく知っている」または「聞いたことがある程度」を選んだ回答者)

印象コメント
「良い」または「まあ良い」社会に貢献している
  • 企業や行政が対応できない社会課題に取り組んでいる(男性20代)
  • 地域振興や社会貢献事業をしている(男性30代)
  • 世のためになるような慈善事業に取り組む(女性20代)
  • 地域で学童保育を提供しているNPOを知っている(女性30代)
非営利である(ボランティアである)
  • 非営利のボランティア(男性30代)
  • 非営利でボランティアのような活動をしているため薄給である(男性30代)
  • お金をとらずにボランティアとして働いている(女性20代)
  • 非営利で社会のために働いている(女性30代)

「良い、まあ良い」カテゴリーでは、「社会に貢献している」、「非営利である(ボランティアである)」という回答が多くみられました。NPO職員はボランティアとは限らないのですが、世の中には多くのボランティアによって成立しているNPOが数多く存在する*ことを考えると、実態に即した回答なのかもしれません。

また、学童保育など、サービスからNPOを知ったという回答も一部みられました。

*内閣府の調査によると、年間予算が500万円未満のNPO法人の割合は全体の約45%だそうです。

印象コメント
どちらでもないよくわからない
  • 聞いたことはあるが、内容までは知らない(男性20代)
  • ボランティア団体のようなもの(男性20代)
  • 色々あるし、どういう活動をしているのか分からない(女性20代)
  • 何をやっているのかよくわからない(女性30代)
良いもののあれば、悪いものもる
  • 社会のための組織だが、詐欺まがいのものもある(男性30代)
  • まともなものから、胡散臭いものまで様々(男性30代)

「どちらでもない」カテゴリーでは、大半が「よくわからない/知らない」と答えています。その中で一部、「よいものもあれば、悪いものもある」という至極真っ当なご意見もみられました。

前問、前々問と組み合わせると、回答者の約半数程度は「NPOという言葉は聞いたことがあるけれど、良し悪しを判断するほどよく知らない」のではないか、と推測されます。

「やや悪い」または「悪い」うさんくさい

  • 胡散臭い団体が多い(男性20代)
  • 本当に非営利なのかうたがわしい(男性30代)
  • 非営利団体ということだけで漠然としている(女性20代)

悪いニュースを見聞きした

  • 横領などのニュースをみるとき、よくNPO法人と出てくる(男性20代)
  • 反社会性力とのつながりについて聞いたことがある(男性30代)
  • たまに聞くと不正に儲けている話が多く、いい印象がない(女性20代)
  • NPOに関するろくでもないニュースが多い(女性30代)

気になる「やや悪い」、「悪い」カテゴリーです。回答数は少ないものの、「不正に儲けている」、「横領」、「反社会性力」といったネガティブなコメントがみられます。こうした「NPOへの悪印象」を持つに至った経路としては、ニュースの影響が大きいことが分かります。

まとめ:まだまだ実態を知られていないNPO、信頼性向上とメディアへの露出が課題か?

本調査で印象的なのは、「約8割が聞いたことがある」一方で、「約6割は、何なのかよく知らない」ということ。つまり、「NPO?聞いたことはあるけど、ようわからん!」という意見が大半なのです。

「良い印象」については、「悪い印象」より多いものの、その理由は「社会に貢献している」、「非営利(ボランティア)だから」と、やや曖昧。一方で、ニュースで取り上げられる一部のNPO法人の不正により、「うさんくさい」イメージも広がっています。 とはいえ、身近でがんばっているNPOを知っている人たちは「良い印象」を持っているという傾向もみられます。

NPOがより社会に正しく理解され、浸透していくためには、会計報告や活動報告をきっちり行うことで社会的信用を高めると同時に、良い面も悪い面もあわせて、メディアに取り上げられる必要があるのかもしれません。

NPO法人ETIC.による調査レポート

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石川 孔明

1983年生まれ、愛知県吉良町(現西尾市)出身。アラスカにて卓球と狩猟に励み、その後、学業の傍ら海苔網や漁網を販売する事業を立ち上げる。その後、テキサスやスペインでの丁稚奉公期間を経て、2010年よりリサーチ担当としてNPO法人ETIC.に参画。企業や社会起業家が取り組む課題の調査やインパクト評価、政策提言支援等に取り組む。2011年、世界経済フォーラムによりグローバル・シェーパーズ・コミュニティに選出。出汁とオリーブ(樹木)とお茶と自然を愛する。