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Session 2 データに基づく、社会実験のPDCA 11/16開催レポート(3)

2016.02.15 265view 

「地方創生チャレンジ in 東北シンポジウム〜東北を舞台に進める、地方創生の社会実験と企業の関わり方を考える〜」Session 2では、東北各地で「データ」を集め、それを分析し、さらに活用している試みが紹介されました。

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「思い」から「データ」へ

まずはETIC.リサーチ・ディレクターの石川孔明が「震災復興への支援というものは、『思い』から始まったと思いますが、最近では『データ』にもとづいて行なおう、ということが言われるようになりました」とこのSessionの背景を説明し、現場で課題に取り組む3人を紹介しました。

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NPO法人アスヘノキボウ代表理事の小松洋介氏は、2013年4月、宮城県の女川町でまちづくり、産業活性に取り組む同NPOを設立し、創業支援や移住促進、人材育成、学生インターンなどの活動を展開し、その拠点として「女川フューチャーセンターCamass」をつくりました。その過程で、ハリケーン・カトリーナの被害を受けたニューオリンズを視察する機会などもあり、「大事なのはデータだ」と思うようになったといいます。

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「地域にヒアリングしたうえで、国や街のデータを加工しました。また、データをまとめ、使っていくプロジェクトをどのように運営していくか、意見交換していきました」と小松氏は振り返ります。そうして同NPOが「住民の方や事業者の方に使っていただくために」まとめたのが『女川の未来を考えるデータブック』という冊子です。この冊子は「人から、考えてみる」、「お金から、考えてみる」、「仕事から、考えてみる」、「暮らしから、考えてみる」という4つのパートから構成されており、女川町の「ヒト・カネ・モノ・情報」についての数値データがわかりやすくまとめられています。

「たとえば『人が地域で金を使わないというのは本当か?』とか、『仕事があれば、人が来てくれるのか?』とか、みなさんが気にしていることがわかるようにデータをまとめていきました」と小松氏は説明します。この冊子を使った勉強会「フューチャーセッション」も、フューチャーセンターで開催されているとのこと。

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早稲田大学災害復興医療人類学研究所所長の辻内琢也氏は、岩手や宮城、福島の仮設住宅に住む1万人を対象にしたアンケート調査を実施し、その結果がNHKの番組「震災4年 被災者1万人の声」として取り上げられたことを紹介しました。

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この大規模なアンケートでは、東日本大震災では阪神・淡路大震災と比べて仮設住宅の入居者数の減少がずっと遅いこと、年収200万円未満の世帯は震災前には22%だったが震災後には38%に増えたこと、持病が悪化した人が35%、新たな病気にかかった人が40%、抑うつ状態にある人が55%いること、などが明らかになりました。

辻内氏はこうしたデータを分析した結論として、「社会経済の復興が心の復興をもたらし、それが人間の復興をもたらすのだと思います」と述べました。

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復興支援センターMIRAIの押田一秀氏は、福島県相馬市で復興関連事業の企画制作や産業創出のサポートをしていくなかでデータの重要性を認識し、住民を対象として「仮設住宅における実態調査」を、事業者を対象として「事業所マッピング」や「事業所データベース作成」を実施したことを説明しました。

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住民を対象とした調査においては、リヤカーを使って市内の仮設住宅1500戸に食品や生活用品の販売を実施すると同時に、入居状況の確認や困りごとの調査を行いました。その調査結果を、毎月、市に報告しているとのことです。また、センターに「生活相談窓口」を設置し、相談に応じてきたところ、「住民からの相談内容は、最初は心の問題などだったのですが、2013年から2014年にかけて、仕事再開や助成金などに移り変わりました」と押田氏は説明します。また「事業所マッピング」で、「どこで、誰が、何をしている?」かを明らかにし、ヒアリングも重ねていったところ、観光業などは厳しい実態もあるのだが、「たとえば『パークゴルフ』などは伸び続けているということもわかりました」。こうして集められた地域情報を活用・アウトプットするための事業も展開中だと言います。

集めたデータをどう活用していくか?

石川は3人の報告を受けて、「こうしたデータをどう活用するか、ということが課題ですね」と問題提起しました。

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小松氏は「たとえば『人口を2040年までにどう増やすか? 20代や30代の人を増やすことと40代、50代の人を増やすこととでは、将来の人口動態への影響が異なるのではないか?」といった課題について、勉強会なども開きながら、データをもとに取り組んでいこうと議論しています」と女川町での様子を写真もまじえて伝えました。

辻内氏はNPOの取り組み2例を聞いて「頭が下がる思い」だと言い、「1万人の声を集めておきながら、学術だけで使っていてはほんとにもったいないです。『こんな風に使ってみたらどうか?』というお知恵をいただきたいと思っています」と呼びかけました。

押田氏は、情報発信ポータルサイト「相馬本家」を立ち上げたほか、データブックやウェブサイト、アプリなどで情報活用を進めていく、と言います。しかし「より使ってもらうために、足りないのはお金とリソースです」と現状の課題も述べました。

そのほか、「NPOとしてどのセクターとの連携が難しかったですか?」という質問に、ある登壇者が「行政でした。思想(根本的な考え方)や言語(使われる言葉)が違うからです」と答えるというやりとりなどもあり、これまでの成果とこれからの課題が見えてきました。

ある参加者はアンケートで「自分の会社の中でもデータがないとなかなか進まないことが多いので、もっと活用できるようにしたい」と感想を述べました。また、「日本人はデータの活用による『問題・課題の見える化』が不得意です。このような出来事によって、それが変革をとげることができることを実感しました」という参加者もいました。「見える化」は今後も広がり、活用が進むことを予感させるSessionでした。

>>Session 1「東北は地方創生のラボラトリーになりえるか」

>>Session 3「2020年までの東北と企業の関わりを考える」

>>イベント概要、当日の配布資料はこちら

===== 2/27(土)、地方創生をテーマに「ローカル・イノベーターズ・フォーラム2016」を開催。アメリカや東北を含む日本全国からゲストを迎え、地域の未来を考えます。 ローカル・イノベーターズ・フォーラム 2016

この記事を書いたユーザー

粥川 準二

粥川 準二

1969年生まれ、愛知県出身。明治学院大学ほか非常勤講師。著書『バイオ化する社会』(青土社)など。監修書『曝された生』(アドリアナ・ペトリーナ著、森本麻衣子ほか訳、人文書院)。

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