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新卒地方就職のススメ〜枠を外し、地方に出でよ〜

2017.04.05 1,045view 

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近年加速している地方創生の動き。その流れから、「地域で働き、暮らす」という選択をする人が増えています。しかし、皆さんは、新卒で地元でもなく都心部でもないローカルな現場に飛び込む、という事例を耳にすることはあるでしょうか?

都心部の学生の中には、地域で働きたいと思っていても、知り合いがいなくてやっていけるのか、未知の環境に飛び込むことへの不安などで、新卒で地域に飛び込むことは中々ハードルが高いものとなっています。

新卒での地方就職はまだまだ珍しいのが現状です。しかし、都市部への就職だけでなく、地域への就職がもっと身近になれば、学生にとっては選択肢が広がり、地域にとっては流出しがちな若い人材を呼び込めるなど、大きなメリットがあるのではないでしょうか?

そこで今回は、都心部から新卒で地域に飛び込んだお二人のお話を伺いました。現場で活躍する二人のインタビューを通して、新卒地方就職という選択を考えてみましょう。

やりたい仕事をするために、場所にとらわれない

一人目は、鳥取県鳥取市の株式会社東部コントラクターで働く新卒1年目の澤井知夏さんです。畜産牛のエサとなる稲を作る仕事をしている澤井さんのお話から見えてきたのは、都市なのか、地域なのか、と働く場所を区別して考えていては、本当に自分が納得できる環境に出会えないのではということでした。

-澤井さんは、どのような経緯で入社したのですか?

人材育成や起業支援を行うNPO法人ETIC.でインターンをしている時に、鳥取に出張し、今の会社の上司の話を聞く機会がありました。そのお話がとても面白かったので、就職させてもらえませんか、と単刀直入にお願いしました。

東京で農業勉強をしている時、農業の将来の行き詰まりを感じることがありました。その中で、うちの会社は循環型農業がテーマで、持続可能な農業をすごく現実的に考えている面白さがありました。おもしろいと感じた会社の器の中に自分がいろんなものを入れられる、夢がみられるところだなって。

-でも、澤井さんのように地域で農業をするという選択肢は珍しいと思いますが、抵抗はありませんでしたか?

地域で働くことについては、地元以外で就職したかったので、どこであろうとかまわないと思っていました。実際に鳥取に来てみると、私みたいな人は物珍しいようで、優しくしてくれる方が多いです。

農業を選んだのは、人と違う働き方がしたかったからです。大企業に終身雇用されることには興味がありませんでしたし、身内がそのような仕事で病気になったこともあり、疑問もありました。

-今はどんなお仕事をしているんですか?

澤井さん1(横)

頭も体も使う農業が楽しいと話す澤井さん。1年を通して現場で活躍している。

主に現場に出ています。牛のエサは飼料稲で作るので、ほとんど米作りと同じです。それを鳥取県東部地区の酪農家さんに販売します。牛のエサは、主に外国産のものが流通しているのですが、それを自分たちが地元で作ろう、という地産地消の考え方です。

-やりがいは?

新しいことがどんどんできるようになることです。機械の操作など、必要とされるレベルまで覚えられるととても嬉しくなります。

-大変なことや難しいことはありますか?

大変ということではないのですが、入社した理由は、人事的な仕事、農業に新しい人を巻き込む仕事がしたかったからです。その話をして、「じゃあうちの会社来なよ」と言ってもらえたのですが、1年目の今はまだ、教えてもらった通りの作業がようやくできるようになったところで、自分がやりたい人事の仕事はまだできていません。そこはもどかしいですね。

-経験者として、新卒で地域に行くという選択をどう思いますか?

企業選びは、自分がやりたいことを突き詰めなきゃいけないと思います。東京に限定せず、地方まで選択肢を広げた上で、突き詰めた結果、選んだ会社に行くのが良いと思います。また、新卒だと自分でその会社の良し悪しを判断出来ないから、相談できる大人をちゃんと見つけておくのも大事だと思います。

 

-都市部ではなく、地域だからこそできることはありますか?

地域だからこそ、というのはそんなにないと思います。その企業だから出来ることはあるんじゃないでしょうかね。あとは大きい企業と小さい企業の違いもあると感じます。小さい会社では誰のせいにもできないから、自分でなんとかしようという気持ちになれる。「ここでならキーパーソンになれるかもしれない」って思えたんです。自分に合う土俵を選ぶこと。私は多分、大企業だったら戦えないような気がしていたのだと思います。

澤井さん2

1年目から社員のやりたいことを聞いてくれて、どうしたら良いか一緒に考えてくれるのも、顔が見える環境ならでは。

-なるほど…。自分が戦える土俵を見極めることって、働く上ですごく大切なことですね。新卒で地域に入ることのメリットは?

新卒で地域に行く選択ができる時点で、視野は広がっていると思います。それだけ意志が強いということでもある。何かが見えていないと入れないと思うので。

メリットは、数年後に地域に行くより早くスタートできるところかな。学生さんがもっと勤務地を考えずに就職先を選べるようになったら良いと思います。行きたいと少しでも思える会社があったら、行くべきです。

-最後に、今後の展望を聞かせてください。

うちの会社を面白いって思ってくれる人を増やしたいです。会社の魅力を伝えることと、会社を面白くしていくこと。新卒でも中途でも、遅いも早いもないと思うので、考えを持って、面白がって来てほしいです。私は、この会社に好きで入って、しんどいこともありますけどとにかく好きなので、仕事を通してここをもっと良くしていきたいと思っています。

続いては、東京の大学を卒業後、岩手県奥州市の会社に入社した、関根涼さんです。

地域でオンリーワンになれる仕事

「鋳物の街」として知られる岩手県奥州市水沢にある、及源鋳造株式会社。この会社にも、新卒で活躍している方がいます。創業165年という歴史を持ち、南部鉄器の製造・販売を行う会社で働くのが、新卒2年目の関根涼さんです。

-関根さんはどんな就活をしたんですか?

大学時代に地域でのボランティアをしていた影響か、人やお金がふつうに集まる都市で働くよりも、もっと人を必要としている地域のために働きたいと思っていました。

ただ最初は東京が拠点の会社を見ていましたね。でも、「そんなに地方のために働きたいのなら、地方の企業で働けばいいじゃないか!」という当たり前のことに気づきました(笑)。

そして、インターネットで今の会社を知りました。なにかとても惹かれるものを感じ、アポイントをとって会社見学をさせてもらいました。

この判断は正解だったと思っています。自分と同じような特徴や能力を持った人が集まる場所で日々競争するよりも、若いというだけでまず喜ばれ、必要とされていると実感できるので、自分の存在価値を感じられます。

関根さん1

大学時代は、東京の国立大学で社会学を専攻していたという関根さん。

-会社に入ってからはどんな仕事をしているんですか?

主に広報やイベントの企画です。

南部鉄器は海外でも人気が出てきているんですが、地元の評価は実はあまり高くないんです。そこをなんとか変えていって、地域に根強いファンを増やしたい。そのために、地域の農家さんたちと食のイベントを企画したり、小学生向けの鉄器づくり体験など、地元の人のためのイベントを積極的に行っています。今年はショップの隣にキッチンができたので、鉄器を使った料理教室を企画中です。

地域イベントで、参加者がひっつみという郷土料理を教わっている様子。

地域イベントで、参加者がひっつみという郷土料理を教わっている様子。

-2年間働いて、楽しいことややりがいは?

南部鉄器や会社のことを、どう伝えればよいかを考えるのが楽しいです。この産業は価格や商品の機能以外の部分でも伝えられることが多いので、どうやったらお客様に共感してもらえるのか試行錯誤しています。

最初はなんとなく、伝統工芸としか見ていなかったけど、鉄器と接するうちに、もっと知りたい、伝えてみたいって思えてきました。地域に根ざしている商品だからこそ、この感情も強く生まれるのだと思います。

また、規模の小さい会社だからこそ、会社全体の問題が見えやすいので、頑張ろうという気持ちに一層なれますね。

-大変なことはありますか?

都心の企業と比較すれば給料が少ないことですかね…(笑)。でも、たくさんお金を使うこともないですし、通勤時間も短く、時間に余裕があるので、その分気持ち的にはゆとりがあります。ただ、都心と比べると同年代が少ないので、そこは少し寂しいですね。

でも自分はここで働くのが合っているなと思っています。同期としのぎを削って競争するタイプではないと思っていますし、合わない仕事で無理に頑張ってもガタがきてしまうなって。

高校も大学も志望校に合格し、家族や友人から「うまくいってる」と見られていましたが、何か自分的にはどんどん追い込まれていく感覚がありました。自分にとっては今のように自然と自分を受け入れてくれて、オンリーワンの存在になれる場所の方が、力を発揮できると思います。

南部鉄器を楽しんでもらおうと、アウトドアクッキング企画も開催。

南部鉄器を楽しんでもらおうと、アウトドアクッキング企画も開催。

-地域でオンリーワンになるという考え方、素敵です。でも、新卒で地域に行くのはやはりハードルが高いと思ってしまうのですが

 

自分の場合、学生時代のボランティア活動で、たくさんの地域の人たちと話し、一緒に作業する経験があったので、それが不安を減らしてくれたと思います。初めての土地に行ってもなんとかやっていけそうっていう自信がつきましたね(笑)。

地域でのボランティアを通じて、新しい人間関係を作っていく経験ができたのは大きかったと感じています。都心部の大学生で、地域で働くことに興味はあるけど不安と感じている人は、そういう活動をしてみるのもいいんじゃないでしょうか。不安が解消されるきっかけになるかもしれませんし、逆にやっぱり合わないなら、無理に地方で就職を選ぶ必要はないでしょうし。

-実際に働かれてみて、新卒で地域に飛び込むこと、どう思いますか?

行く会社にもよるし、就活生自身の性格にもよるので一概には言えませんが、少しでも興味があるんだったら、まずは選択肢から消さないで、実際にそこに行ってみるのがいいと思います。きっと活躍の場所があると思います。

都会や地方、大企業や中小企業関係なく、自分が「おもしろい」と思って日々取り組めるところにいけるのが一番だと思います。そうやって取り組む中で、想像していなかったような自分の力を発揮できるかもしれないですしね!

おもしろいと思える仕事は、どこにあるのか?

澤井さんは、自分がやりたい農業への思いから鳥取県鳥取市に行き着き、関根さんは、自分を必要としてくれる地域のために働きたいという思いから岩手県奥州市にたどり着いていました。二人とも共通して、自分が戦える土俵を地域に見つけています。そして、その地域で、会社の一員として強い当事者意識を持ち、オンリーワンの存在として日々活躍していました。

都市で就職活動をしている学生にとっては、「有名企業に内定をもらったらすごい」「地方はつまらない、都市部で働くのが刺激的」という考え方がまだ一般的でしょう。

しかし、二人のお話から見えてきたのは、「自分がおもしろいと思えるところで働けるのであれば、都市でも地方でも、大企業でも中小企業でも関係ないのでは?」ということです。

筆者も1年前、地方に深く関わる仕事がしたいという思いで就職活動をしました。生産者の方々とのつながりが深い飲食業を選び、地方勤務の希望を出しましたが、「大学を出たのに、都心勤務できる大手商社やメーカーを目指さないのか」と言われることもありました。

地方で働きたいと考える学生が、周囲から理解されにくい状況があることを自分の肌で感じました。

インタビューを通してわかったのは、都市と地方の枠を外し、自分が戦える土俵を見極めて地方に入る決断をするのは、やはり容易に出来ることではないということ。しかし、お二人のように、新卒で地方の中小企業でオンリーワンの存在として働く事例がもっと社会に広まれば、そのような選択も受け入れられやすくなり、学生がより自分の興味や性格に素直に、仕事を選択できるのではないでしょうか。

私もこの4月から、地方の生産者さんから直接地鶏や野菜、お酒を買い取り、提供する飲食店で働きます。生産者さんの思いをお客様に伝えることができるこの仕事で、地方と関わる魅力を広め、新卒地方就職を当たり前にしていけたらと思います。

この記事を書いたユーザー

中谷香央里

中谷香央里

ETIC.ローカルイノベーション事業部、学生インターン。大学時代、東北地方を中心としてボランティア活動をしていく中で、地域づくりに関心を持ち始める。地方での魅力的な取り組みを知り、都市部の人々にも発信していきたいと思い、インターンとしてETIC.に参画。

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