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#経営・組織論

ストレングスファインダーをチームで活かすには?メンバーの資質を理解して「強みの貸し借り」を

2019.10.04 

なにが正解が分からないこれからの世の中では、自分の好きなことや得意なことを知る自己理解が大切――そんな話をよく耳にするようになりました。

「もっと自分を知りたい」というビジネスパーソンを中心に、定期的に話題になる「ストレングスファインダー®」をご存知でしょうか?オンラインでテストを受けると、「ポジティブ」や「責任感」といった34の資質の中から、自分が強く持っているものの順番を教えてくれるというサービスです。

筆者も10年ほど前に知り、このテストを受けていました。ただ、受けたのはいいものの、その後はあまり活用できていない…というのが正直なところ。そんな中、職場の同僚に、ストレングスファインダーのプロである「ストレングス・コーチ」がいることが分かりました。ストレングスファインダーを開発したギャラップ社認定の資格です。

ストレングス・コーチでもあり、このメディアを運営しているNPO法人ETIC.の人事担当でもある高野あいに、ビジネスパーソンがストレングスファインダーを仕事で活用するための方法を聞いてみました。

 

聞き手:DRIVEメディア 編集長 佐藤茜

高野あい プロフィール

Gallup認定ストレングス・コーチ。社会の未来を創る人を育むNPO法人ETIC.所属。 個性豊かなETIC.メンバーが、楽しくご機嫌に成果を出しながら働く環境づくりを目指すも、既存策が馴染まず挫折しそうな時、個々の強みをいかすStrengths Finder®️に出会い認定コーチへ。 ひとりひとりの個性を愛し、互いに活かし合える関係性の構築をベースに、NVCも学びつつ引き続き奮闘中。8歳&5歳姉妹の母。

高野さん

ストレングスファインダーで分かるのは「強み」ではなく「資質」?

 

ーーストレングスファインダーを受けると、自分の5つの強みが分かるんですよね。

 

高野:誤解されがちなんですが、実はストレングスファインダーで分かるのは「強み」ではなく、その人の強みの元となる「資質」なんです。自分にとっては当たり前の思考や感情のクセであり、無意識に出てくる傾向性ともいえるもの。その人が息をするように自然にだせる「魔法」のような感覚です。この資質にスキルや知識といった自己投資をかけ合わせることで、強みになります。

よく注目される上位1位から5位までの資質は、「自分の手元にあってすぐに使えるツール」のようなものです。下の方の資質になるにしたがって、ポケットの中、かばんの中と、使う頻度が落ちていくイメージですね。

6位以下の資質の診断結果を見るのには追加料金が必要なので、5位までしか出していない方が多いですが、上位の資質の組み合わせを見ることが大切なので、すべての資質を出されることをおすすめします。

 

ーー私も最近になって追加ですべての資質を出しました。人気というか、出てきやすい資質、逆にレアな資質はあるんでしょうか?

 

高野:現在約2,100万人がテストを実施していて、その数字から資質の出現率(※1)がわかるのですが世界全体だと、「達成欲」や「学習欲」が多いですね。

逆に出現率が低いのは、「自己確信」「指令性」「自我」「規律性」「原点思考」「目標志向」「活発性」「競争性」などです。

(34の資質はこちらから)

 

日本では「最上志向」が多いのですが、ストレングスファインダーに、関心を持ってみずからテストを受ける人の傾向性が反映されていそうですね。「最上志向」を上位に持つ方は「自分の強みに注目し、さらに向上させる」ことにエネルギーを注ぐ傾向性が高いので。

 

ーー定期的に受け直したりするべきですか?

 

高野:基本的に、出てきた資質の順番は、ほとんど変わらないと言われているので、一度受ければ大丈夫です。

一度受けてしまうと、またテストを受けたときに「この質問はこの資質のことを聞いているんだな」と分かってしまったりもするので。

もし、複数回受けたとしても、上位資質が多少入れ替わるだけなので、例えば以前受けた結果が1~5位までの診断であれば、追加で全34の順位を出す方が、自己理解が深まると思いますよ。

ストレングスファインダーをチームビルディングに活かすには

 

ーー仕事をするとき、自分と似た資質を持っている人と、違う資質を持っている人、どちらと一緒に働く方がいいのでしょうか?

 

高野:チームビルディングという観点でいうと、違う資質同士のほうがいいですね。違う考え方、違うやり方の人が集まって、360度の視点が手に入る方がパフォーマンスが上がります。

お互いの資質を知ることは、チームメンバーに見えない「タグ」をつけるようなもの。そうすることで、その人の資質や強みについての理解が深まり、強みの貸し借りができます。「大人の相互依存」なんていう言い方もありますが、それぞれの傾向性が分かっていると、欠けているところやできないところではなく、いいところやできるところに目が向くようになります。

 

ただ、マネジメントする立場からすると少し大変ですよね。メンバーそれぞれのモチベーションの違いや傾向性を把握して仕事を進めないといけないという。海外では、ギャラップ社の認定コーチがマネージャーに対して、部下たちの傾向性もふまえてその人らしいマネジメントができるよう提案・支援するという使い方も多いそうです。

日本では、ヤフーさんの事例(※2)が有名ですね。約6000人いる社員のうち、半数はストレングスファインダーを受けているとか。関連する社内研修もあり、日々のチームビルディングや、1on1の場面で活用されているという話を聞いたことがあります。

 

ーーETIC.でも導入したことはありますか?

 

高野:部署の合併があったときに、それぞれの部署のメンバーのことを知るために使ってみたことがあります。事前にストレングスファインダーを受けてもらって、各資質について解説をして、お互いに結果を見せ合ったりということをしました。また、新しいメンバーが増えた時に、メンバーのいいところやすごいと思うところについてアンケートをとり、それをそのメンバーの資質を参照しながら解説するというのも実施したことがあります。

 

ーーストレングスファインダーの結果を見て、仕事を変えたりする人も多いのでしょうか?

 

高野:ストレングスファインダーをもとに転職したり、また人事や上司が配置換えをしたり……というのはあまりおすすめしません。「この資質を持っているからこの仕事が合っている」というような、適職診断に使うものでもないですね。ある状況の中で、自分にあったやり方で成果を出すには?という考え方をするためのものなので。資質は、何ができるか(CAN)ではなく、どのようにするか(HOW)という、思考・感情・行動における無意識の傾向性(パターン)を言語化したものです。

 

なので、自分が無意識に繰り出すHOW(パターン)を意識化し、今の仕事で、効果的・生産的に使うことを考えてみる、例えば、「いまやっている仕事を自分に合わせた方法に変えられないか?」「他の強みを持った人に助けてもらえないか?」という発想の方がいいと思います。特に日本の場合、幅広い仕事を任せられることが多いので、そちらの方が合っているのではないでしょうか。

NVC(共感的コミュニケーション)と組み合わせることで、より効果的に活用できる

 

――近々、このストレングスファインダーを仕事、特にチームづくりに活かす方法についての講座を開催されるそうですね。それについて教えていただけますか?

 

高野:ストレングスファインダーを、NVC(共感的コミュニケーション)と組み合わせて活用する方法をお伝えする講座です。NVCは、臨床心理学者のマーシャル・B・ローゼンバーグ博士によって体系付けられたコミュニケーションの方法で、頭(思考)で判断や分析をするかわりに、自分と相手の心の声に耳を傾け、感情や大切に思っているものを明確にしていこうというもの。なにかものごとが起きたときに、まず状況を観察し、そこからお互いの感情と大切にしたいこと(ニーズ)に気づき、お互の大切なものをふまえた要求を提案する(リクエスト)……この観察、感情、ニーズ、リクエストという4つのステップが基本です。

 

特に、お互いのニーズを理解してリクエストするときに、ストレングスファインダーが活きてきます。同じものごとであっても、それに対する無意識の思考・感情・行動のHOW(パターン)が異なる、という前提があれば「私にとっては、このHOWが当たり前だけど、あの人は違うHOWかもしれない…。」という想像がうまれやすくなる。

その上で、HOWの背景にある感情や大切にしたいこと(ニーズ)を、聴きあい理解しあうNVCのステップを進んでいくと、互いを尊重しそれぞれがの資質を活かせるような、リクエストにつながる。

そういう「新しい選択肢」が発見しやすくなるんですね。

今回の講座は、ストレングスファインダーとNVCを合わせることで、自分もいかし相手も大切にする「新しい選択肢」を発見できることを実感してもらうものになっています。

以前開催した講座の様子

以前開催した講座の様子

ストレングスファインダーの活用において、自分を理解する、自分の可能性に目を向けて自分を愛する、自分を活かす、という3つのステップがあるのですが、この講座でそれが実現しやすくなると思っています。

 

※講座の詳細はこちらから。

>>互いを活かしあう【共創的チーム】づくり基礎講座 ~ストレングスファインダー®x NVC 2つのプロ―チから個々の可能性を高める

https://drive.media/event/24664

 

業務の10%の時間を使って社会課題に挑戦できる「マイプロ」という制度

 

――子育てもしつつ、フルタイムで働きながら、仕事以外でこういった活動をするのは大変ではないですか?

 

高野:ETIC.には「マイプロジェクト」、約して「マイプロ」という制度があり、それに助けられています。マイプロは、いまのところETIC.と何かしら関連のある活動に限られてはいますが、業務の10%の時間を自分が挑みたい社会課題の活動に使ってもいいというもの。

私の他にも、マイプロを使って文科省とのプロジェクトの運営をしたり、他のNPOの組織づくりに取り組んだりしているメンバーがいます。「社内でも社外でも、人のチャレンジを応援していく」というETIC.の理念を感じる制度ですね。

 

ーーGoogleの「20%ルール」みたいですね。NPOでは初めて聞きました。

 

高野:あと、オフィス勤務が必須ではないので、打ち合わせがあるときなどを中心に週に3日ほどの出勤にして、残りは自宅勤務にすることで移動時間を節約していることも大きいかもしれません。知識やスキルを更新するために外部研修へ参加するので、有給は使いきってしまっていますが(笑)

自分の中では、社内のことも社外のことも、子育てもキャリアも、全部繋がっている感覚です。

 

――仕事でもプライベートでも、自分らしい活動をしてて素敵ですね。今日はありがとうございました!

 

ストレングスファインダーとNVCを活用する講座は、基礎・応用・実践と3つのステップを実施予定とのこと。ご興味のある方は、こちらの基礎編の詳細をご確認ください!

>>互いを活かしあう【共創的チーム】づくり基礎講座 ~ストレングスファインダー®x NVC 2つのプロ―チから個々の可能性を高める

https://drive.media/event/24664

 

(※1) 出現率は、18年1月時点のデータ

(※2) ストレングス・カンファレンス2017時点の事例

 

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この記事を書いたユーザー
佐藤茜

佐藤茜

当メディア(DRIVEメディア)の前編集長。男の子2人の子育てをしながら編集・マーケティングまわりで活動中。 福島県生まれ。大学卒業後、人材系ベンチャーで新規事業立ち上げやマーケティングを担当。ニューヨーク留学、東北復興支援NPO、サンフランシスコのクリエイティブ・エージェンシーでのインターン、衆議院議員の広報担当秘書等を経験。 Twitter:https://twitter.com/AkaneSato

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