震災から約3年が経過しようとしている中、復興に取り組む現地起業家と企業とのコラボレーションが進んでいます。
今回は、ビジネスパーソンが現地の起業家とディスカッションを重ねる中で、事業の課題整理や悩み事を解決する『みちのく創発キャンプ』の様子をレポートします。
みちのく創発キャンプの様子。中央左は石巻2.0代表の松村豪太さん
一泊二日のブートキャンプである本イベント、主催は企業6社とETIC.が運営する復興支援プラットフォーム「みちのく復興事業パートナーズ」です。
今回は、雪のちらつく仙台を舞台に、東北の11事業者29名と、味の素株式会社、花王株式会社、株式会社損害保険ジャパン、株式会社電通、株式会社東芝、株式会社ベネッセホールディングスから、CSRや人事担当者、CMプランナー、コピーライターなど18名が参加しました。
イベントは、組織における現状の課題をあぶりだし、解決策を考えぬいて明日からの具体的なアクションを持ち帰ることを目的としています。参加企業のファシリテーターによる課題発見ワークショップに始まり、初日夜の飲み会(毎回大変盛り上がります)を挟んで、チームで打ち手を考え、アクションプランを作成します。
参加チームのひとつ、石巻2.0。震災後に立ち上がった彼らは、「石巻を世界で一番おもしろい場所にしよう」と、カフェ、新聞、不動産、ラジオ、民泊など20以上のプロジェクトを展開しています。メンバー2名とともに参加されていたのは、代表・松村豪太さん。松村さんは、石巻2.0の活動について「多くのステークホルダーと数多くのプロジェクトを実施する中で、マネジメントや事務局機能強化しなければいけない」という経営課題を抱えていました。
石巻2.0のWEBサイト。宮城県石巻市を拠点にたくさんのプロジェクトを展開しています。
そんな松村さんは、ビジネスパーソンや他事業者とのディスカッションの中から、課題解決の方向性が見えてきたといいます。
「メンバー間で、情報や楽しさを共有していくことが重要だと気づきました。組織横断のミーティングを行って、そこに外部の人ももっと巻き込んでいきたいと思います。マネジメントの変革は重要な課題ですが、普段のメンバーとは、日常業務についての打ち合わせが多くて、ついつい後回しになってしまいます。この場では、いつもと違うメンバーと、重要な課題だけに絞って議論できるところがいいですね。ビジネスパーソンから、シビアな目線でマネジメントについて意見がもらえる点も、刺激になりました。」
なお、その他の起業家の方々にもお話を聞いてみると、この場に寄せられた課題には、スタートアップから拡大し始めるフェーズにおける「組織マネジメントの悩み」が多いようでした。販売やマーケティングなどとは異なり、なかなか内部や周辺で相談しにくいテーマについて、チームのコアメンバーとともに、利害のない第三者とディスカッションできることも、この場のひとつの価値であるようです。
一方、参加した企業側には、どんな気づきや学びがあったのでしょう。石巻2.0のグループワークに参加した、株式会社電通 総務局 社会貢献部の阪中真理さんに、イベントの感想を伺いました。
「ゆるやかに繋がりながら新しいチャレンジに取り組んでいくといった、一般的な企業とは違った、新しい仕組みの組織を石巻2.0では作ろうとしています。そこでは、企業以上に、活動を進める上でのビジョンやリーダーシップが大切になってくるでしょうし、今までなかったものが生まれてくると期待しています。そういった、企業と全く違う立ち位置で活動されている現場の方たちと関わって一緒に課題を考えることで、私たち企業人が思ってもみなかった違う視点やヒントなど、得るものがあるなと感じています。」
復興に取り組む事業者・ビジネスパーソン双方に、思いがけない気付きがうまれるみちのく創発キャンプ。今回のフォローアップイベントも、半年後に実施する予定とのこと。
「ビジネスパーソンは、NPOのリーダーシップから多くを学べる」というジョンソン・エンド・ジョンソン日色社長のコメント(掲載記事はこちら)もありますし、今後も企業・現地リーダーのコラボレーションが一層盛んになり、よりよい地域づくりが進むことを期待したいと思います。
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