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はじめての災害寄付入門~遠方からの祈りをどう支援の力に変えるか?(西日本豪雨への支援について)

2018.07.12 

未曽有の広域豪雨被害をもたらした西日本豪雨。 地震や噴火、異常気象による自然災害が次から次へと起こる中、いつ自分や周りが当事者になるかわかりません。

遠方で災害が起き、祈りやサポートしたい気持ちを形にしたいと思った時、どうすればよいのでしょうか? いくつかの実例や事実をもとにできる方法を考え、架空のストーリーにまとめてみました。

*ストーリーに出てくる会話は事実をもとにしたフィクションです。

*7/17日11時更新(寄付先リンク集に日本財団CANPANの記事を追加)しました

遠方でできるサポートアクションの方法にはどんなものがあるか?

ドラ夫:「久しぶり。西日本豪雨のさ、化学工場の爆発の、ニュース見た?」 30代会社員、イブ美さんのところに大学時代の友人ドラ夫さんから、電話がかかってきました。

 

ドラ夫:「大学のときの、モモ子って覚えてるかな。結婚して岡山に移住して、市役所で働いてるらしいんだけど、週末から徹夜で対応しているらしいよ。しかもさ、5月に家買ったばっかりで、それが水浸しになっちゃったんだって。」

 

イブ美:「そうなんだ…それは大変だね。何かできることないかな。」

 

ドラ夫:「そう、おれはさ、ちょっと仕事や子供のこともあって現地に行くのは無理だから、被災者向けの情報をまとめた"給水所/お風呂/洗濯(ランドリー)マップ(Code For Japan)"っていうWEBページのコード書きをちょっと手伝ったりもしたんだけど、寄付もできたらなと思って。

でも色々ありすぎてどうしていいかわかんなくてさ。以前、イブ美が寄付について色々調べてたから(はじめての寄付控除入門〜NPOへ寄付したら、税金が安くなる?)、相談に乗ってもらえたらと思って電話したんだ。」

 

イブ美:「実は私も迷ってたの。そういうスキルがあるのってうらやましいな。私、できること、あるかな。」

 

ドラ夫:「おれもほんと少しだよ。子どもたちに必要な何かを送ろうって最初は思ったんだけど、物資なんかは裏目にでちゃうことも多いって聞いて。

参考記事:豪雨被災地に支援物資、逆に混乱? 熊本市長が呼びかけたこと (BuzzFeed News)

 

ドラ夫:「あ、そういえば、同僚はプロジェクトの空いたタイミングだから休みとって広島にボランティアにいくらしいんだけど、ボランティアセンター運営したことがある人の記事が、参考になったって言ってたよ」

参考記事:災害ボランティアに参加する前に知っておきたい4つのこと ~「派遣する側」と「派遣される側」の両方をやって感じたことから~ /西日本豪雨(風とつばさ ブログ)

 

イブ美:「ありがとう。私も当面すぐ現地に行ってボランティアっていうのも難しいかも…。寄付のこと、ちょっと考えてみて、また連絡するね。」

寄付の方法にはどんなものがあるか?

イブ美さんは、「西日本豪雨、寄付」でネット検索をして、どんな方法があるか調べてみました(図1)。

 

(a)全国規模の募金受付窓口(義援金/支援金)

(b)ポイントやマッチング寄付など、仲介窓口になる企業等に預ける形・寄付サイト

(c)被災した都道府県や市町村自治体への寄付 (c':外部の代理自治体による授受)

(d)コミュニティ財団や中間支援サポートをする団体への寄付

(e)現地で直接活動する団体への寄付 (e':NPOパートナーシップ型)

スライド1 イブ美:「現金のかたちで直接とどく義援金と、モノやサービスの形で届く支援金というものがあるのね。どこの窓口に寄付するかによって、モモ子たちに届くまで、相当かかるんだ。支援金といっても、色々なことやっている人がいるし、窓口も実施先もどこが信頼できるんだろう?

自治体は安心だけど、モモ子みたいに、職員さんも自分も被災者で、かつ連日緊急対応で忙しい中、みんなに公平にっていうのは、大変なことも多そうだな。」

参考記事:「震災と寄付」第1回 あなたは知っていますか? 義援金と支援金の違い

 

イブ美:「過去に被災した自治体やなんかが被災自治体の代わりに寄付を受け取ることもやっている。」

参考URL:代理自治体の寄付受付(ふるさとチョイス 災害支援)

 

イブ美:「直接現地で活動している団体にも、自治体と連携してふるさと納税の仕組を使ってお金を集めているところもある(ふるさとチョイス 災害支援)し、寄付サイトと連携しているところもある(Yahoo!ネット募金)のね。

小回りがもう少し効きそうで、現地のことを知ってそうなところに預ける(ももたろう基金)のもありかな。へぇ、東日本大震災や熊本地震や、過去の災害対応経験に基づいてピンポイントの支援をしている取組なんかもある( 「西日本豪雨支援、軽自動車募集!」日本カーシェアリング協会)んだ。 ちなみに税控除はどうなってるんだろう?実質負担が少なければ、もっと寄付できるよね。」

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参考記事:ふるさと納税と寄付控除の方法について知りたい方はこちら→お得な「ふるさと納税」をゼロから解説、面倒なようで実は簡単! すべての納税者必見!(WEZZY)

参考記事:NPOへの寄付と控除の仕方について知りたい方はこちら→はじめての寄付控除入門〜NPOへ寄付したら、税金が安くなる?(DRIVEメディア)

どの方法を自分が選ぶか?

イブ美さんはドラ夫さんに連絡をして、どんなものがあるかと、いくつかリンク先について、早速伝えました。

 

*西日本豪雨(平成30年7月豪雨)の寄付先のリンク

EC関連サービスによる西日本豪雨の被災地支援まとめ[随時更新](ネットショップ担当者フォーラム)

【平成30年7月豪雨】NPOによる救援活動・ボランティア活動に関する情報(日本財団CANPAN)

豪雨災害支援募金サイトまとめ。支払方法から使い道まで。(WEZZY)

 

ドラ夫:「そっか、おれはすでに現地で活動してる団体にカードのポイントを通じて寄付できる、これにしようかな。マッチング寄付で企業が倍額にしてくれるのもいいね。

正直今子どもにお金かかるから、ポイントでできるのはいい。スマホでさくっと、1~2分で面倒くさくなさそうなのも。イブ美はどうするの?」

 

イブ美:「そうだね。今すぐ必要なことも大事だし、でも生活再建や復興とか、いろいろな時期があると思うし。どこにどんな被害があって、いつ何が必要なのか、私にはよくわからないから、その時々で被害を受けた人たちのためになることを選んでくれそうなところ、いくつか、ちょっとずつ寄付してみようかなと思ってるよ」

まとめ

豪雨の後、実際にあったやりとりに基づいて支援の方法を考えてみました。

・自分にとって手軽か(支払方法の煩雑さ、寄付控除による実質の負担額)

・どのように被災者に届くか(使い道やスピード)

など、実際に寄付しようとすると色々と迷うポイントは多いですが、寄付自体は3分で完了しますし、小さな額でも適切に選べば大きな力になります。

あなたが心動いたとき、ご縁とタイミングを大切に、納得してぽちっと選んでみてください。

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佃 真衣

ETIC.事務局/1988年生まれ、高知県高知市出身。東京大学文科三類入学、工学部卒。文部科学省で4年間、科学技術イノベーション政策、震災緊急対応、初等中等教育政策に携わる。教育関係のNPO勤務後、15年1月ETIC.参画。