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宮崎県日南市の休眠資産とは!?地域創生のためのブレストイベント「おかわり!地域オモシロ大作戦」レポート

2019.12.23 

地域の“休眠資産”を“オモシロ資産”と捉え直し、地方創生に活用できないかアイデアをブレストしまくるイベント、「地域オモシロ大作戦」。2019年2月の初開催から半年、

「地域の資産は理解できたけど、見てみないとわからない!」

「現地でブレストしたい!」

「情報が足りない……おかわりっ!」

という声にお応えし、10月に宮崎県日南市にて、「おかわり!地域オモシロ大作戦」が開催されました。(そもそも「地域オモシロ大作戦」ってなに?!という方はぜひこちらの記事をご覧ください!)

集合写真1

月給90万円で商店街の活性化を担うテナントミックスサポートマネージャーを公募し、わずか3年でシャッター街化していた油津商店街を劇的に再生させたことなどで注目を集める、宮崎県日南市。地域の眠れる資産(アセット)も豊富な日南市での、オモシロすぎる1泊2日の模様をレポートします!

 

「おかわり!地域オモシロ大作戦」では、参加者の皆さんにその地域の「アセット一覧」=「オモシロ資産一覧」を配布します。ツアーはアセットの1つでもある、油津商店街内にある多世代交流モール・油津Yottenからスタート。この空間がすでにおしゃれでカッコいい……!(ちなみに「よってん」とは、「寄ってみて」という宮崎弁です)

Yotten広場2

集まったメンバー一行は、一目で「あっ、この人たち絶対クセモノだ」と感じさせるオーラを放っていました。自己紹介タイムを終えると、さっそく噂の油津商店街巡りへ出発です!

 

まずは商店街再生の始まりとも言えるABURATSU COFFEEへ。もともとは麦藁帽子という喫茶店だったようで、店内には麦藁帽子時代の雰囲気を感じさせるステンドグラスをあしらったライトや、電話ボックスを利用したブースなどが残っており、初めて来るのにどこか懐かしい雰囲気を感じさせます。

 

決して大きな商圏ではないけれど、市民に愛され繁盛しているということで、なんとスターバックスのスタッフも視察に来たことがあるそう。ちなみに商売繁盛の秘訣は……よくわからなかったそうです(笑) 最初は「外からチラッと見るだけ」の予定でしたが、ドリンクを購入するメンバーもおり、自由すぎる空気感が早くも醸し出されてきました……!

ABURATSU COFFEE

実は広島カープのキャンプ地でもある日南市。拠点となる天福球場も油津商店街から徒歩10分弱という近さです。鳥居が目を引く「油津カープ館」、油津商店街と天福球場を結ぶ真っ赤な「カープ一本道」、広島カープファンの宿泊場所をつくりたいということで生まれた「ゲストハウスfan!」など、ちょっと歩いただけで、商店街全体で広島カープを応援しようという雰囲気が感じられます。

 

しかも、ゲストハウスfan!は当時名古屋大学の3年生だった奥田慎平さんが、「BIZCAMP in 宮崎県日南市」という学生向けの合宿型ビジネスコンテストで優勝したことをきっかけに、構想からなんと4ヶ月程でオープンしたという、いろいろびっくりなゲストハウスなのです。もちろん一行の宿泊先でもあります。

fan!

そうこうしているうちに、「あら?いつの間にNYのSOHOに来ちゃったの?」と勘違いしてしまいそうなスタイリッシュなオフィスが出現!こちらが噂のIT企業のサテライトオフィスのようです。こんなカフェのような空間で仕事ができたら気分もアガりそうですね~!

 

目の前には絵本の中に出てきそうなかわいらしい保育園もあり、オフィス誘致の増加によってそこで働く若い女性も増え、日南で育つ子ども達も増えていっているんだなと感じました。

PORT.INC

その先には、ブランコが吊るされたなんとも遊び心をくすぐる空間が。思わず立ち寄ってみたくなりますが、ぱっと見には何のお店なのかよくわかりません。

 

実はこちらの1階は誰でも自由に使えるフリースペース。Wi-Fiもあるのでお仕事をされている方もいらっしゃいました。畳のスペースでは自分の部屋のようにくつろぐ高校生らしき姿もあり、本当に誰もが自由に使っているようです。2階は月額4万円で日本各地の登録されたお家に住み放題のADDressというサービスに加入しているそう。なんだか最先端ですね……!

ADDress

そして子育て世代にイチ押しなのが、日南市子育て支援センター「ことこと」。木のぬくもりを感じながら、様々な木のおもちゃで遊ぶことができる広々とした空間です。えっ!?しかもここ、無料で誰でも使えるんですか……!? 近くだったら絶対通う! こんな素敵な場所があるだけでも、すでに日南に住みたくなってきました(笑)

 

かと思えば、存在感のある昔ながらの商店もちらほら。そこが油津商店街のおもしろみであり、魅力にもなっているんでしょうね。

ことこと

油津商店街巡りを堪能した後は、日南の廃校巡りです。ヤシの木が植えられ南国ムードのある旧潮小学校には、アロマショップやタイ料理店、シーカヤック工房が入っています。芝生の校庭はオートキャンプ場として活用中。

 

「体育館もあるのでスポーツ系のイベントや合宿などは企画できないか?」、「廃校の賃料はいくらくらいなの?」など、アセットを使ったアイデアについて思いをめぐらせる会話も聞こえてきます。スポーツ教育に関心のあるメンバーは特に視察に熱が入っているようでした。もう1つの旧鵜戸小学校は未活用の状態でしたが、芝生がきれいに整備されています。多くの人が通ってきた小学校は思い入れの強い場所だけに、地域にとっても納得感のある使い方が求められそうです。

旧潮小学校

日が暮れるとお楽しみの夜の時間。実は日南は、夜のアセットも大充実だったんです!一説によると人口に対するスナックの開業率が日本一なんだとか……確かに歓楽街と思しき通りでは、スナックの看板がズラッときらめいています。「今日って確か月曜でしたよね?」ということを忘れそうになるくらい、どこのお店も賑わってる!

 

着席すると、お通し代わりに駄菓子セットが各テーブルに配られます。これも日南ならではのスナック文化!? 日南マジックとでも言いましょうか、今日初めて会ったメンバーがほとんどとは思えないくらいの盛り上がりで、人生初のはしご酒5軒という記録を打ち立ててしまいました……!でもどこのお店もたいてい2,000円くらい。良心的……!

スナック

たとえ朝4時帰宅でも、集合時間は変わらず9時です!昨晩羽目を外しすぎたせいか、みなさんややグロッキーな朝を迎えています。そんな一行でしたが、2日目最初のアセット・堀川運河のほとりにある古民家に足を踏み入れると表情が一変。事前に配られていたアセット一覧の「現在の建築基準法では認められていない、運河にそのまま降りられる設計の家」という説明だけでは、正直あまりピンときていませんでした。ですがこの古民家の魅力は、実際に行ってこそ体感できるものだったのです。

 

見た目よりずっと奥行がある造りになっており、階段もあちこちにあるので、下りたり上ったりしているうちに自分が何階にいるのか混乱してきます。感覚を狂わされる、まるでミステリーハウス!水際に降りられたり、テラスに出られたり、なんなら屋根の上にも出られたり、秘密基地のようなワクワク感にあふれていました。ここを後にする頃には「何かに使わないともったいない!」という気持ちでいっぱいになること間違いなしの物件です。東南アジア出身の若者向けシェアハウス事業を展開中のメンバーは、「ここでやれたらおもしろいだろうな~」と話していました!

堀川運河沿い古民家外観

オモシロ大作戦@日南の最後を飾るのは、住民がわずか3世帯となった串間市の築島でのBBQ!築島へは救命具を付け、小型ボートで5分ほど。これだけでだいぶ冒険感があります。

 

我々を待っていたのは、ラグジュアリーな海鮮食材たち。しかもスタッフの方から丁寧にサーブしていただけました。「離島BBQ」という言葉からは、自分たちで焼くセルフスタルをイメージしていましたが、いい意味で見事に裏切られました。ご覧の通りめちゃめちゃインスタ映えします!

BBQ食材2

そしてこの海の青さ!となれば……やはりこうなりますよね(笑)

飛び込み

築島の魅力は、日常ではなかなか味わえない解放感。参加者で船舶免許と中古船を取得して種子島を目指すツアーが企画されるなど、新たな種も生まれていきます。

 

いろいろな枠を取っ払って、純粋に「やってみたい!」「楽しい!」という熱に動かされてアイデアが出てくるのは、日南という地域に飛び込んで全力で楽しんだからこそ。会議室で考えているだけだったら生まれなかったであろう空気感がそこにはありました。

振り返り

日南入りしてまだ24時間ちょっとしか経っていないことが信じられないくらい、たくさんのオモシロ資産に触れることができた今回の「おかわり!地域オモシロ大作戦」ツアー。気づけばすっかり日南ファンになっていました。今回は日南を巡るツアーでしたが、全国各地にまだまだ眠れるアセットがあると思うとワクワクしかないですね!

 

そんな全国のオモシロ資産が一同に集まるのが「地域オモシロ大作戦」なのですが、2020年2月29日の開催が決定しました(詳細はこちらから)。

 

ユニークなメンバーと一緒に地域のオモシロ資産に出会うことで、自分の人生をもっとおもしろくできる「何か」が生まれるチャンスは何倍にもなる。今回の「おかわり!」ツアーではそんなことも感じました。ぼんやりとでも「こんなことやったらおもしろいんじゃないかな……」と考えていることがあれば、ぜひ参加してみてください!そして「これは!」というオモシロ資産を見つけたら、ぜひ現地まで足を伸ばしてもらえればと思います。

ラスト候補2

 

 

Facebookページ「ローカルベンチャーラボ」、Twitter「ローカルベンチャーサミット」では、ここでご紹介したような地方でのチャレンジに関する情報を日々お届けしています。ぜひチェックしてみてください。

 

 

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茨木いずみ

宮崎県高千穂町出身。中高は熊本市内。一橋大学社会学部卒。在学中にパリ政治学院へ交換留学(1年間)。卒業後は株式会社ベネッセコーポレーションに入社し、DM営業に従事。 その後岩手県釜石市で復興支援員(釜援隊)として、まちづくり会社の設立や、組織マネジメント、高校生とのラジオ番組づくり、馬文化再生プロジェクト等に携わる(2013年~2015年)。2015年3月にNPO法人グローカルアカデミーを設立。事務局長を務める。2021年3月、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。