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働きがいと利益の両輪で走るビジネスを増やすために。社会的な価値の“見える化”を追求するトークンエクスプレスの挑戦

2021.11.10 

「社会の課題に向き合う事業で利益を上げる。そんな企業が増えるように自分たちの提供できる事業を進化させたいんです」

 

こう語るのは、トークンエクスプレス株式会社の代表取締役 紺野貴嗣(こんの・たかつぐ)さん。社会的な価値を追い求める企業が迷いなく事業を拡大できるよう、経営基盤の仕組み化をサポートしています。根底にあるのは、「働く人たちが自分の会社に誇りを持って仕事をするためにはどうすればいいのか、企業と一緒に答えを見つけたい」という思いです。

 

具体的にどういった事業で企業の社会への関与を促し、またその先にどんな未来を描いているのか、紺野さんにお聞きしました。

1_紺野さんお写真

紺野貴嗣/トークンエクスプレス株式会社 代表取締役

東京工業大学卒業後、2009年に独立行政法人国際協力機構(JICA)に入構。 エジプト、イラクをはじめとする中東向け開発金融実務、アジア地域の事業における民間企業向け投融資事業に従事。 JICA退職後、業務オペレーションのコンサルティング企業にて中堅~大企業へ業務改革サービスを提供。2019年、トークンエクスプレス株式会社を設立。 スペインIE Business School経営学修士(MBA)。

マイクロファイナンス産業の成長に貢献

 

トークンエクスプレスのビジョンは、「ビジネスによる社会的価値の創出をみんなが目指す世界」。社会課題の解決を目的にした事業を展開する企業に対し、マーケティング戦略をはじめ、社会的インパクトの測定・マネジメントの知見を活かしたサービスを提供しています。

 

代表の紺野さんは、大学卒業後、独立行政法人国際協力機構(JICA)に入構し、エジプトでのマイクロファイナンスをより良く広げるために企業を束ねて法律改正を働きかけるなど、産業の成長に貢献しました。

 

2_(キャプション)JICAエジプト事務所駐在時代の様子(スエズ運河拡張工事現場の視察時)

JICAエジプト事務所駐在時代の様子(スエズ運河拡張工事現場の視察時)

 

紺野さんは、当時、マイクロファイナンスに感じた魅力をこう話します。「低所得者の人たちに、彼らがそれまでアクセスできなかった金融サービスを提供するほどに社会課題が解決できて収益も上がる、その仕組みに大きな可能性を感じたんです」。その後も「社会貢献と利益の両輪で走るビジネスが当たり前になる世の中になってほしい」という思いを持ち続け、2019年、トークンエクスプレスを設立しました。

 

4_(キャプション)エジプトのマイクロファイナンス業界の要人を連れて訪れたフィリピン視察出張(紺野さんは前列一番右).

エジプトのマイクロファイナンス業界の要人を連れて訪れたフィリピン視察出張(紺野さんは前列一番右)

 

6_(キャプション)エジプトのマイクロファイナンス業界の要人を連れて訪れたフィリピン視察出張

エジプトのマイクロファイナンス業界の要人を連れて訪れたフィリピン視察出張

 

「JICA時代はマイクロファイナンスの経営者と話す機会が多かったのですが、彼らの知見や経験に触れる中で、社会に貢献する事業が世の中に認められるためには一定の評価基準があることに気づいたんです。その評価基準をわかりやすい形にして企業に取り入れてもらえれば、マイクロファイナンスのような、社会課題解決を利益につなげるビジネスが実現できるのではないかと思いました。何年か企業でのキャリアを積んだ後、自分でそのビジネスに関わることを決めたんです」

社会課題の解決に取り組む企業に寄り添う

 

「私たちの事業は、インパクト投資と呼ばれる世界の近いところにいます」と、紺野さんは話します。

 

インパクト投資とは、長期的なリターン(投資を行うことで得られる収益)を目指すESG(環境・社会・企業統治)の一種ともいわれ、財務的なリターンと同時に、ポジティブで測定可能な社会的・環境的インパクトを生み出す投資のこと。この数年、世界的な社会課題が複雑化するのを背景に注目が集まり、運用会社が投資先の企業に対して社会課題の解決にどのくらい貢献しているかを評価する動きも広まっています。

 

ただ、トークンエクスプレスの場合は、投資する側ではなく、投資される企業や団体側に立ってサービスを提供しています。「社会的な課題を解決したい」というミッションを確実に達成するための指標を作り、検証やモニタリングをして、その評価軸を世の中にわかりやすい形で“見える化”しています。紺野さんたちは、こうした仕組みを「設計」と呼んでいるそうです。

 

「実際に設計したものを検証し、モニタリングするには多くの時間や手間、専門技術を必要とするんです。企業は事業収益を上げ続ける必要もあるので、例えば経営的な課題が生じた時に社会貢献事業の優先度が低くなり、最終的に辞めてしまう恐れもあります。そうならないように、無理なく、評価の体系の中にあるKPI(重要業績評価指標)などが取得できる業務オペレーションの仕組みを提案しています」

 

社会課題解決への想いをかけ声で終わらせないために。企業が社会課題解決と利益を両立できるよう、紺野さんたちはサービスの提供とともに経営者たちの奮闘に伴走しています。

 

8_仕事中の写真

メンバーとの打ち合わせの様子

 

一人ひとりの働きと社会貢献との結びつきを可視化

 

企業を支援する中で紺野さんが最も大事にしているのは、「企業で働く人たちの業務が、どう社会貢献に結びついているか」を可視化すること。

 

例えば、地方の活性化、被災地支援など、日々の業務がどれだけ社会のために役に立っているのかを社員が意識できるようになることを重視しているそうです。

 

社会貢献が実感できると、自分の仕事に大きな意味を感じられるようになるんです。『じゃあ、次は何ができるだろう』と、考え方がより前向きになっていきます。そういう人が増えていくと、働きがいと利益の両輪を大事に動かす企業が、社会で大きな役割を担うという世界へ近づいていくと思っています。

人の考え方や行動が変化することで、企業も自然と変化を遂げていきます。自分の仕事がいかに社会の役に立っているかを実感できることが大事なんです。例えば、私達が関わった企業支援のプロジェクトで、『今、こんな仕事をしています』と自分の仕事に誇りをもって、SNSで紹介している方がいました。大きな第一歩だと思ったし、私たちの事業の意義を再発見しましたね」

企業に表れた変化

 

トークンエクスプレスが事業を通じて関わるのは、もともと社会課題の解決に取り組む企業や団体が多いと紺野さんは言います。その一つ、一般財団法人 社会変革推進財団(SIIF)は、インパクト投資の事業モデルを創り出し、市場拡大を担うことを柱に成長していますが、トークンエクスプレスでは、社会変革推進財団が支援する企業の社会貢献度を高めるサポートをしているそうです。支援先の一つである、株式会社ポケットマルシェとの関わりについて紺野さんはこう語ります。

 

「全国の農家や漁師など生産者から産地直送で商品を届けるECサイトを運営するポケットマルシェさんは、生産者と消費者をつなぐことで、両者の理解を促進すること、さらには農村部の高齢化や後継者不足の課題を解決することに取り組んでいます。産地を盛り上げるために、どうすればECサイトをきっかけに消費者が産地へ足を運んでくれるか。私たちはポケットマルシェさんに、人が行動を起こすまでに、どういう意識の変遷があるのか、指標を設けてそれを検証していく方法を提案しました」

 

9_ポケットマルシェ

株式会社ポケットマルシェのホームページ

 

トークンエクスプレスの提案以来、この指標に基づいてポケットマルシェ内での検証や実践が進んだとのこと。その過程で、紺野さんにとって嬉しい出来事もあったといいます。

 

「大きなミッションを達成するまでの枠組みを再整理し、業務が体系化されたのですが、ポケットマルシェさんの担当者の方々は一つひとつの業務に目標や価値を見出してくれていて。そのことがうれしいし、そういった変化を大事にしたいなと思っています」

 

ポケットマルシェでのプロジェクトは、もともと少人数のチームで始まったそうですが、次第に社内の関心度が高まり、関わる社員も増えていきました。トークンエクスプレスが提案した指標や体系化された業務のテーマを専門的に扱うチームも生まれたそうです。

 

「企業には、社会の中で、顧客に商品やサービスを提供する、雇用を生むという二つの大きな役割があると思います。私たちはさらに、三つ目の役割をもってほしいと思っています」

 

そう話す紺野さん。三つ目の役割において重要な一歩は、「社会に対して、何を大事にしているかをはっきりと主張すること」と続けます。

 

もし不利益を被っている人の存在や社会の課題を感じた時に、自分たちの企業はアイデンティティ(個性)として、その状況を変えていくと言える企業が増えてほしいです。そして、私たちはそんな企業を支えられる存在になりたいと思っています」

 

例えば、トークンエクスプレスはWeWorkの提供するフレキシブルオフィスに入居していますが、これはWeWorkの掲げる企業ミッションに賛同したため。世界150都市(2021年9月時点)でフレキシブルオフィスを提供しているWeWorkは、インクルージョン&ダイバーシティをミッションに掲げています。肌の色、性別、政治的信念や宗教上の信仰、性的指向、その他のあらゆる差別やハラスメントは許容しないことを自社サイトに明記しています。

 

「企業として声を上げたうえで実際の行動も発信していくことは、社会を変えていく大きな力となります」

 

10_wework

トークンエクスプレス株式会社が入っているWeWorkメトロポリタンプラザビルの共用エリア

自分の仕事に誇りが持てる人が増えるように

 

トークンエクスプレスは会社設立から2年が経ちました。紺野さんは「大きな節目」として新たなチャレンジを始めようとしています。ビジョンの「ビジネスによる社会的価値の創出をみんなが目指す世界」を実現するために必要な一歩だと言います。

 

「インパクトのある社会的事業を増やすために、大きな影響力を持つ企業などを支える事業も拡大していきたいと考えています。具体的に事業展開の悩みを聞きながら、社員一人ひとりが主体的に仕事を担っていけるように。働きがいと利益の両輪が成り立つ企業を実現するために、多くの人が自分の仕事に誇りを持って生きてもらえるような指標や仕組みを作っていきたいです」

 

***

 

トークンエクスプレス株式会社では、2022年スタート予定の新事業に向けて、新メンバーを募集しています。社会課題解決に向けて新たに事業を立ち上げたい、社会貢献事業を拡大したいという企業の社会的な価値をともに育てる仕事です。

 

最後に、紺野さんは新しい仲間に向けてこう語ってくれました。

 

「思い描くキャリアの目的が、トークンエクスプレスで達成できると思えたら、ぜひ扉を叩いてください。トークンエクスプレスでの経験を活用して、これからのキャリアプランに生かしてもらえたらうれしいですね。そういった考えを持ち、さらにビジョンに共感してくれる人が集まってくれることで、より良い答えのヒントが生み出せると思っています。コンサルティングの経験は問いません。仕事へのやりがいと利益の両輪で走る企業が増えるよう、その変化で社会がより良くなるよう、一緒に自分たちのできることを追求していきましょう」

 

トークンエクスプレス株式会社の求人記事の詳細はこちら!

 

<参照>

インパクト投資とは何か?(一般財団法人 社会変革推進財団)

https://www.siif.or.jp/qa/

インパクト投資 -現状とその可能性-(三菱UFJ信託銀行)

https://www.tr.mufg.jp/houjin/jutaku/pdf/u201905_1.pdf

ESG「インパクト投資」に広がり 看板倒れを防止(日本経済新聞)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB166D70W1A810C2000000/

 

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DRIVEメディア編集部です。未来の兆しを示すアイデア・トレンドや起業家のインタビューなど、これからを創る人たちを後押しする記事を発信しています。 運営:NPO法人ETIC. ( https://www.etic.or.jp/ )

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