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#経営・組織論

融資、利用してみて正直どうですか?ーー経営者に聞く、NPO・ソーシャルビジネスにおける融資活用の実際

2015.06.09 

NPOやソーシャルビジネスの資金調達手段の1つとして徐々に注目が高まりつつある融資。 寄付や助成金と違い、返済が必要なお金であり、「返せなかったら破産…」といったネガティブなイメージを持つ方も多くいらっしゃると思います。一方で、組織機能・基盤の強化や新たなる事業投資を行うために融資を戦略的に活用しているNPOやソーシャルビジネスも増えてきました。 今回は西武信用金庫が日本財団とETIC.と連携して展開する融資商品「CHANGE(チェンジ)」を実際に活用している株式会社リリムジカの代表・管偉辰さんにインタビュー。 融資を活用したことで事業の成長スピードや経営者としての心構えがどのように変化したのか、聞いてみました。 リリムジカ代表管さん

株式会社リリムジカ代表・管偉辰さん

リリムジカの事業内容とは
桐田:最初に、リリムジカさんの現在の事業内容を教えていただけますか? 管:そうですね、“デイサービス”とか“老人ホーム”とか“介護施設”ってありますよね。そういった介護が必要なお年寄りが生活している場所に行って、一緒に歌ったり、楽器に触れたり会話を楽しんだりするプログラムを、月に125回くらいやっています。 桐田:月に125回って、すごい数ですね! 管:今は共同代表の柴田を入れて12名のプログラム担当者が在籍していて、南は神奈川の平塚から北は栃木の宇都宮まで活動しています。 リリムジカのみなさん

リリムジカのみなさん

“音楽療法”ではなく、音楽の場作り
桐田:「“音楽療法”ではなく音楽の場作りを」という想いは、どのような経緯で生まれたのですか? 管:最初は「音楽療法を社会に活かしたいよね」というところから始まりました。実際に介護の現場に行ってお年寄りと歌っていると、決定的に認知症が治るとか麻痺が良くなるとかっていう役割はちょっと果たしきれないなと感じて。それゆえに“療法”って言いづらいなと思ったんです。「普段声を出さない方が口ずさむ」「ほかの方と交流しない方が会話を楽しむようになる」といった成果は出ましたが。でも、実は介護の現場にとっては、このことにものすごいインパクトがあるんですよ。 日々のケアの中で「もう話せない認知症の○○さん」という先入観を持ちがちですが、歌い終わったあとふと涙を流したりとか、思い出話を始めたときに、周囲の目が変わるんです。できなくなることばかりじゃないんだって気づくきっかけになる。 一つそういった反例があると、音楽がない日の接し方が変わります。「もしかしたら、また反応がみえるのではないか」と思いながら、以前に増して声をかけるようになる。そうすると、お年寄りの生活の質がぐんと上がる。 “治療”というよりも、“場作り”を手段としてお年寄りとその周りの人を幸せにできたらと思います。 リリムジカ現場

リリムジカの”場作り”の現場

桐田:なるほど、目的が違うから音楽療法とは違うんですね。 管:そうですね。誰もがが死ぬ前の期間を経験する。僕もする。最期の時期を幸せに過ごせる人を増やすことで、今元気な人に「人生の最期は暗く苦しいものばかりではない」ということを伝えていきたいです。
CHANGEで融資を導入しようと思ったタイミング
桐田:どのようなタイミングで融資を導入しようと思われたのですか? 管:ずっとカツカツだったんですね、「お金」が。売上金が入った、出てった、全然残らなかった、という繰り返し。新しく何かをしたくても、あまりにも不安で身動きがとれなくて、投資ができない状況でした。
正直、融資というよりも借金だと感じていた
桐田:それでCHANGEへ申し込まれたんですね。一方で、もともとご実家が事業をされていて、融資に対してそこまで前向きな思い出がなかったという話もうかがっていますが、その点はいかがですか? 管:そうですね、借金は「してはいけないもの」と思っていましたね。父が事業をやっていて、順調に回ってるときはいいんですけど、失敗したときに借金が残り、自信がなくなって返済の約束が守れなくなっていくのを見たのが大きかった。だから最初は、融資って近寄せちゃいけないものなんだなって思ってました。 管さん 桐田:そういったご経験があったうえでのお申し込み、特に不安はなかったですか? 管:桐田さんって、フリーランスですか? 桐田:一応、フリーランスですよ。 管:フリーでやってると、仕事が安定して回ってない限り不安は尽きないですよね。 桐田:それは本当にそうですね。 管:怖いですよね。でも、こんなプロセスで集客をしてサービス提供をして対価を得る。仕事のサイクルがわかれば、安心感が生まれますよね。
事業を成長させていくための融資
桐田:それはそうです。それぐらいの経験を積まれたタイミングで申し込まれたってことですか? 管:そう。例えばその時点では100しかやってないけど、市場規模的には200〜300伸ばしていけるし、増やしていければお金は全然返せるだろうという算段が見えてきて、お金を借りて事業を加速させようと思いました。 大きく利益が出るタイプの事業ではないので、一度力を入れて挑戦しない限りじり貧です。毎年1.5?2倍ぐらいのペースでは成長していたのですが、そこを一気に伸ばしたかった。
成長した一番の理由は、新しい職員を採用できたこと
桐田:実際に使われて、どういうふうに投資していって、どういった成長がみられましたか? 管:一番大きかったのが、新しい職員を採用できたことですね。2013年度の年商ベースで1080万円だったのが、2014年度は1800万円までいって、たぶん次は2500?3000万円ぐらい。運営の部分の人手が完全にパンクしてて、僕の作業が詰まって仕事を回せていなかったんです。 社会人経験の豊富な方が入ってくれたおかげで仕事が回るようになりました。お世話になった施設に花を贈るときにどの花がいいとか、そんなことも相談しました。 管さん2 桐田:私も以前医療業界にいたのでわかります。福祉のような感情の交流が活発な場所では、細かな気配りが相手と信頼関係を築くうえで特に重要だったりしますよね。 管:本当に。彼女は支援していただいていたSVP東京のチームの方だったんです。ちょうど前職を辞めるタイミングで出会って。運が良かったですね。 桐田:運命ですね。 管:融資がなかったら怖くて雇えなかったです。払えないですからね。 桐田:タイミングを逃さずに採用できたっていうことですよね。
背負いこみすぎている業務を「振る」ことが大切
管:この規模の企業だからかもしれないですけど、僕が業務を背負い込みすぎて、他のことができなくなっていました。おそらく小規模の企業でそういった問題を抱えてるところは多いんじゃないかなと思っているのですが。 去年、ある方から「仕事を振るお稽古をしなさい」って言われて、お稽古を始めてみたんです。うまくいかなかったこともあったんですけど、そうやって「お稽古」をさせてもらえたのは本当によかった。 桐田:ちょうど成長の分岐点のタイミングで、融資を上手に活用されたんですね。
CHANGEの魅力
桐田:CHANGEのどの点に魅力を感じられて申し込まれたのですか? 管:金利が安いのが一番でしょう。金利を比較するほど借金のことを考えていなかったですけど、500万の0.1%が年率ってことは、年5000円。5000を12で割ったら、え?月500円以下?これすごい!と思って(笑) 桐田:すごいですよね! 管:本当にすごい。ただ、最初は好意で金利が0.1%なのかなと思って調べたら、その原資の一部を日本財団が払っている。そういうことを考えると、ただ単に低い金利で借りれたということではないと思いました。たくさんの人のお金が入ってるなっていう。僕らの代わりに背負ってる人がいるわけだから。 桐田:そこまで感じて使っていただけるなら、皆さんも喜ばれると思います、本当に。 インタビュー風景
目的を持った融資の活用を
桐田:今後CHANGEを利用したいなと思ってくれる団体の方に向けてメッセージをいただけますか? 管:今思い出したんですけど、借りた瞬間考えました。仮に会社が潰れるとするじゃないですか。500万円のお金を返そうと思ったら、単純計算で時給1000円のバイトを600日ぐらいしなきゃいけない。でも、生活しなきゃいけないから、8時間働いたとしても、2時間分ずつぐらいしか返せないわけじゃないですか。つまり、会社が潰れて2500日くらいバイトをしたら、年間250労働日だから10年かかると。10年っていったら、もうおじさんじゃん!と思って。今もおじさんですけど(笑) 桐田:いや、お若いお若い! 管:けど、借りてなかったときのことを考えると、事業が進まなかっただろうなと思います。 どうしてもお金を借りたい理由があって、お金を調達するためのいくつかの選択肢が出てくるわけですよね。どの選択肢を使ったら、一番経済的な合理性があるか。 あとは、得意・不得意もあると思うんです。銀行から借りるのが得意な人と、助成金の書類を作るのが得意な人がいると思うので。そのあたりを考えて活用すればいいと思います。 桐田:むやみやたらに借りるのではなくて、目的をはっきり持ってということですね。 管:そうです。これは今のあらゆる支援プログラムを検討している人に言いたいところで、どうしても支援が欲しいときに支援を求めるべきで、支援があるから支援を使うっていうのは本末転倒だと思います。それでうまくいかなかったケースもみているので。 あとは、もろもろ天秤にかけて、勝負を賭けるか賭けないか。賭けたほうがいいと思えた人生のタイミングっていうのもありますよね。
一番大切なのは、「幸せに死ねる人を増やす」ということ
桐田:最後に、今後目指している事業の方向性はどのようなものですか。 管:僕は、音楽を手段だと考えています。その先に「幸せに死ねる人を増やす」ということがあります。 桐田: そうですよね。手段にとらわれないで本質的な大切にすべき点を見失わない姿勢、本当に素敵です。リリムジカさんの今後をこれからも応援しています! 本日はどうもありがとうございました。 「CHANGE」では、創業期の事業成長を応援する500万円の融資に加え、拡大・成長期の社会的インパクト拡大を支える5,000万円の融資提供が2015年度よりスタートしました! 事業の成長を加速させるタイミングを前にした社会起業家の皆さん、ぜひ素晴らしい社会をつくるためのエンジンとして、「CHANGE」を広く活用していただければと思います。 西武ソーシャルビジネス成長応援融資 『 CHANGE(チェンジ)』
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この記事を書いたユーザー

桐田理恵

桐田理恵

1986年生まれ、茨城県育ち。医学書専門出版社にて企画・編集職の経験を経てから、2015年よりDRIVE編集部の担当としてNPO法人ETIC.に参画。2017年からはフリーランスのライターとして活動している。

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