紀元前の昔から現代まで、洋の東西を問わず言われ続けてきた「最近の若者論」ですが、近年の傾向として「グローバルで共通する傾向を示すようになってきている」と言われています。
これからの世界を担う若者は、いったいどんな「仕事観」をもっているのか。デロイト(Deloitte)が公開した"The Millennial Survey 2013(ミレニアル世代調査2013)"から、ダイジェストでご紹介します。
Deloitte The Millennial Survey 2013
2013年の世界経済フォーラムに向けて公開されたこのレポートは、世界16カ国、各国約300名を対象としたオンラインアンケートの結果をまとめたものです。
「ミレニアル世代(ミレニアム世代と訳されることも:英語ではMillennials)」と呼ばれる2000年以降に大人の仲間入りをした世代、具体的には1982年以降生まれのうち、学位を取得しフルタイムで働いている層が調査対象となっています。
Deloitte The Millennial Survey 2013: 調査概要
ミレニアル世代の多くは、幼少期からデジタル化された生活に慣れているため「デジタルネイティブ」とも呼ばれており、新しい価値感を持ち、社会のあり方を変容させる世代として注目されています。それではさっそく、中身を紹介していきたいと思います。
Deloitte The Millennial Survey 2013: ビジネスは何のために存在するか
「ビジネスは何のために存在すると思いますか?」との質問に対して、最も多かった回答は「社会をよくするため」の36%。僅差で「利益を生み出すため」35%、「イノベーションを創出するため」33%と続きます。
また、「イノベーションを創出するため」という回答が最も多かったのは中国の46%、次いでブラジルの42%、そしてインドの42%と、世界の経済成長を担う成長国が並びます。日本はこの項目の評価が最も低く、15%だったそうです。ちなみに、日本において最も高く評価されているのは「暮らしを向上すること」だったとのこと。
なお、「資産を築くこと」は、15%の回答しか得られなかったようです。ミレニアル世代は、経済的成長にそれほど拘泥しないのでしょうか。それとも、「ナルシスト傾向がある」とも言われる彼らは、アンケートに本音を記入しないのでしょうか。
Deloitte The Millennial Survey 2013:ビジネスの成功をどう評価するか
「ビジネスの成功は、財務パフォーマンス以外でも評価されるべきか」という問いに対しては、なんと87%が「評価されるべき」と答えているそうです。具体的には、「従業員満足度や定着(継続)率」が70%、「顧客やクライアントの満足度や定着(継続)率」が69%、「地域コミュニティへの貢献」が61%、そして「イノベーティブであるかどうか」が50%となっています。真っ先に「従業員満足度」が挙げられるところが、少し意外な気もしますが、アメリカやイギリスをはじめ、フランス、ドイツ、スペインなど主だった欧米諸国は全てこの項目が最大となっています。
また、インド・中国も同様です。なお、ちょっと気になる点としては、「イノベーティブであるかどうか」がビジネスの成功を測る上で大事だ、とする意見が最も少ないのが日本とスペイン(両国共に32%)という点です。またしても、日本はイノベーションに関する感度が低いという結果となっています。
Deloitte The Millennial Survey 2013: イノベーションが必要となる領域
「最もイノベーションが必要な領域はどこか」という設問に対しては、次点に大きく差をつけて、64%が「パブリック(公的)セクター」と答えています。まさに「社会起業家」の活躍が期待される領域です。
次が「エネルギー・資源」の48%、以下「コンシューマー・ビジネス」の39%と続きます。「製造業」は、25%で6位となっていますが、日本や中国、東南アジア諸国はこの項目を選ぶ若者が最も多かったそうです。これには、「イノベーション」という言葉が輸入された当初、「技術革新」と翻訳されたことも影響しているのかもしれません。
"The Millennial Survey 2013" 、いかがでしたでしょうか。レポートからは、世界のミレニアル世代の若者たちが、金銭的報酬以外の働きがいや、イノベーションにドライブされるということが伝わってきます。一方で、イノベーションに関する項目では、ズバ抜けて日本の評価が低いことが目立ちます。謙虚すぎる回答の結果なのかもしれませんが、それだけ伸びしろがあると捉えれば、今後の発展が楽しみでもあります。
■ The Millennial Survey 2013
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