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200名以上のチェンジメーカーたちが集ったフェスとは? 〜社会起業家たちとのコラボレーションが生まれる、化学反応実験室〜

2016.11.29 1,325view 

 SUSANOO FES 2016「C×C」(スサノヲフェス2016シーバイシー)というイベントが、渋谷dotsで開催された。

会場に詰めかけた200名の社会起業家などのチェンジメーカーたち。彼らを満員御礼パンパンに集めた会場で、この日一体何が起きたのか。

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市場の失敗分野で挑戦する、60組の社会起業家らが集まるコミュニティ

そもそも、イベント名にも入っているSUSANOO(スサノヲ)とは何なのか。「日本神話に出てくる神さま?」と疑問に思われた方もいるだろう。それも間違いではないが、そんな荒ぶる神さまのような社会起業家たちが、存分に自分たちの個性を爆発させられる場をという想いで、これまで数々の社会起業家を輩出してきたNPO法人ETIC.代表理事の宮城治男氏と、CO-FounderのMistletoe株式会社 代表 取締役社長 兼 CEOの孫泰蔵氏が発起人となって始まった社会起業家のコミュニティなのだ。

「誰しもに必要とされているが、簡単にはお金にならないような領域に挑戦する挑戦者たちをはぐくむ生態系(エコシステム)」として、2013年8月に産声をあげたこのプロジェクトは、約半年ごとに新メンバーを審査採択し加えながら、現在1〜4期まで総勢約60組の社会起業家や起業準備中のメンバーで構成されている。それぞれ独自の視点で社会問題に果敢に挑む情熱と行動力を持ち合わせるものの、常に孤独な戦いを強いられてきた、異端児たちの集まりだ。

「イノベーションのもとは、出会いだ」

今回のSUSANOO FESは、「イノベーションのもとは、出会いだ」というメッセージを掲げ、彼ら自身が周りのチェンジメーカーを招待し、出会うことで共鳴。そこから、大きなうねりを起こすことを目的としている。タイトルである「C×C(シーバイシー)」には、Changemakerを掛け合わし化学反応を起こそうというコンセプト、「チェンジメーカーたちの化学反応実験室」を意味している。

当日、参加者をチェンジメーカーに限定した完全招待制にも関わらず、総勢200名が詰めかけた。中にはこのために地方から来た参加者もいる。

司会進行役の本プロジェクトリーダー渡邉賢太郎は、「とんがった取り組みをしているチェンジメーカーを集めて、出会いを生み、化学反応を起こす場としたい!」と来場者に積極的な参加を呼びかける。

かくして、市場の失敗分野に果敢に挑戦するチェンジメーカー同士が一同に会する、大胆すぎる初の試みが幕を開けた。

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推しアントレプレナーに投票して、一番応援したい起業家・初代スサノヲを決める

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イベントは3部構成。最終的には参加者の投票で、初代スサノヲ(推しメンならぬ推しアントレプレナーというところ)を決定する、トーナメント制のイベントでもある。

第1部 のテーマは、「出逢う」。5つのテーマに分かれて行った。

  • 「Vivid work」(これからの鮮やかな「シゴト」のあり方)
  • 「Dual life」(2つのエリアを結ぶ衣食住のあり方)
  • 「Re:ducation」(学びの改革)
  • 「Re:public」(公共の再編集)
  • 「Dive-a-city&local」(人や地域の多様性)

来場者は「もっとも応援したい」起業家に投票し、各テーマの代表者を決める。各分野6〜7名総勢34名のピッチが終わり、会場は大きな拍手に包まれる。

そしてSUSANOO起業家メンバーを囲んだ個別の交流の時間へ。参加者からの直球の質問や申し出に、真摯に、かつ熱く答える起業家たち。参加者と起業家たちの垣根が少しずつ溶けてゆく。

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「この人とこの人をつなげたら面白そう!」でつながる場。

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第2部 のテーマは、「語る」。第1部終了後に、ドリンクと軽食をつまみながらSUSANOO起業家メンバーと参加者とのネットワーキングが始まる。

1部では、少し離れた場所も含め、4会場に分かれてのピッチだった。正直、一度別会場に行った参加者がメイン会場に戻る中でテンションが落ちてしまうのでは? と個人的には危惧していたが、その不安は一蹴された。高揚して戻ってくる参加者の表情は、どの会場でもピッチが盛り上がったことを証明していた。

いたるところで名刺交換や談笑が休み無く続き、「初めまして」で出会うチェンジメーカーたち。紹介者が紹介者をつなぎ、またつないで、と縁の連鎖が止まらない。「この人とこの人をつなげたら面白そう!」SUSANOOメンバー同士で招待者を紹介し合い、またつながって、自ら積極的に話しかけて……。目の前で瞬く間に輪が広まっている。

SUSANOOを通して生まれたセクターを越えた協働。「Googleインパクトチャレンジ」大賞受賞した例も。

最後の第3部では、「応援する」がテーマ。まず、SUSANOOメンバーがこれまでに起こしてきた、領域やセクターを超えた「化学反応(コラボ)事例」2つが紹介された。

  1. マドレボニータ×Code for Japan

「出産・産後の準備アプリ『ファミリースタート』」

出産後の母親の心と体のケアに取り組むマドレボニータは、産後ケアの認知・実践を今まで通りのやり方で増やすことに限界を感じ、テクノロジーの力でイノベーションを起こす企画を考案。そこで、同じ1期メンバーのCode for Japanと連携しGoogleインパクトチャレンジに申請、Googleインパクトチャレンジでグランプリを受賞した。

  1. LoanDEAL×防災ガール×PR Times

「津波防災プロジェクト#beORANGE

SUSANOO 3期メンバーLoanDEALは、企業の人材をベンチャー企業のプロジェクトに参加させる仕組み「企業間レンタル移籍プラットフォーム」を展開。この枠組みを使い、1期メンバー・防災ガールの#beORANGEプロジェクトに、PR TimesよりPRプランナーが半年間“レンタル移籍”。新たな価値創造を課題としている企業としては、PRを通じた新たな価値創造を担う人材育成の機会に。それぞれが足りない部分を補い合い、想定以上の成果を出せた事例は、リソースが足りないものだらけの社会起業家にとって参考になる事例となった。

これら2つの事例は、業界や取り組む社会問題がそれぞれ違う複数の団体が、共通のビジョンを見出し、それを達成するために、既存の垣根を越えて生まれたコラボレーションの事例。これらの事例こそがSUSANOOコミュニティがいかに柔軟で協力し合う体制が整っているかを端的に表しているのかもしれない。

それぞれが狙う個々の目標をクリアしつつ、複数団体が組んだことによって初めて生まれた社会的インパクトは、この場に集った方々に可能性と刺激を大きく与えた。

週末起業ツール、高校生のアイデア力の向上など。多くの参加者とのコラボが生まれたプレゼンテーション

最終決戦ファイナルステージは、第1部の各テーマ内でもっとも「今応援したい」という投票数の多かったチームが発表する最終プレゼンテーション。加えて、今回が初のピッチの場となった第4期生を対象にしたルーキー枠、そして発表者をじゃんけんで決める1枠を加えた、計7名で最終登壇者が決まった。

手を挙げる参加者たち

最終登壇者の7名と取り組む社会問題

  • 「Vivid work」代表『Weeken’』笠井江里子

週末に友達とやりたいを実現!「体験型チーム起業」で副業解禁!

食から変える人材教育“職場に食場を”

    • 「Re:ducation」代表『i.club』小川悠

高校生のアイデアからはじまる地域イノベーション甲子園の開催へ

近未来型音声認識システム。〜for聴覚障碍者〜

    • 「Dive-a-city&local」代表『猪鹿庁』興膳健太

狩猟の魅力で農村集落のアカルイミライを切り拓く!

    • 「THE ROOKIE」『WELgee』渡部清花

難民と日本人のつながり創出、能力が200%発揮される社会へ!

全国に次世代の介護人材のコミュニティを構築したい!

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週末起業ツール、食を通じた人材教育、高校生のアイデア力の向上、聴覚障がい者のコミュニケーションを促進する音声認識システム、獣害対策、難民の新たな捉え方、介護リーダーの学びのコミュニティ、と最終の7組だけを見ても、その取組みは多岐にわたる。各プレゼンテーション後は、参加者から「私もこんなことで協力できるよ!」というメッセージが、途切れずに続いた。単に発表を話す/聞く、支援する/される、という関係性を超え、「この場にいる全員で、社会を変える挑戦を一歩前に進めるんだ」という空気が醸成される場だった。

今の社会に折り合いがつきにくくても、個性を発揮して社会を変えていく

最終プレゼンテーションを終えた7名には会場全員から溢れんばかりの大きな拍手が送られた。参加者全員で最終投票し、今最も応援したい社会起業家「初代スサノヲ」が決まる。

ここで、SUSANOOプロジェクトCo-Founderである孫泰蔵氏と、NPO法人ETIC.代表理事の宮城治男氏が、メッセージを送った。

宮城治男氏「SUSANOOメンバーはまさに今の社会に折り合いがつきにくいメンバーばかり。しかし自らの個性を堂々と表現しながら、その社会に対する問題意識を実際に解決のアクションに移している挑戦は、本当に素晴らしい。また、そこに自分も関わって応援しようという、ここに集まって下さった全員からパワーをもらえました」

孫泰蔵氏「皆の活動はなかなかすぐに結果が出るものではない。2,3年は当たり前に時間はかかる。でもここで諦めずに継続できれば必ず結果は見えてくる。

SUSANOOプロジェクト自体もそう。ちょうど2年前、第1期生からスタートしたこのプロジェクトは、小さな会場から始まった。でも当時から我々は、SUSANOOメンバーが束になったら絶対に大きなイノベーションを起こせると信じてやってきた。SUSANOOコミュニティに卒業という概念は無いので、これからも新メンバーを加えながら、一緒に世界を変えていけるのではないか。奇跡が生まれる予感がしている」

チェンジメーカー200人が選んだ、いま最も応援したいチームとは

小川さん

「高校生のアイデアからはじまる地域イノベーション甲子園の開催へ」。高校生にアイデアを生み出す機会を創出する第1期i.club小川悠さんだ。

小川さんは、「第1期として、仲間と共に事業のブラッシュアップを続けてきたが、当初から企画していた『イノベーション甲子園』の実現に2年もかかってしまった。でも地道に続け、あきらめないことの大切さをあらためて実感している。孤独になることもあったが、いつか自分が関わる高校生がSUSANOOのこの舞台で発表しているようなことがあれば嬉しい。諦めずに未来を作っていきたい。ありがとうございました!」と語った。

来場者からの盛大な拍手はしばらく鳴り止まなかい中、第2回のSUSANOO FESは幕を閉じた。

彼らの“5分間”に込められたもの

手を挙げる参加者たち

13時〜20時までという長丁場であったにもかかわらず、会場全体が熱量を帯びたままFESは終了した。普通こういった起業家のイベントでこんなに長時間なものは無いし、仮にあったとしても途中退席者が多いだろう。しかし時間が経つにつれ会場全体は一体化し、壇上者への質問や協力応援を差し伸べるたくさんの手は、司会者が泣く泣く遮るまで挙がり続けた。皆それぞれがこのコミュニティの一員で、何かの役割を担いたい!その空気が会場を埋め尽くしていた。

参加者が次々に共犯者になっていく瞬間を目の当たりにして、自分だってメンバーでありながら、「世の中を変えたい」という想いにここまで人を動かす力があるとは正直思ってもみなかった。

 終演後、複数の参加者に感想を聞いてみると、

「今日出会った起業家に自分が出来ることを何か提供したい」といった応援のコメントの後に皆、必ずこう続く。

「自分も何かに挑戦してみようと背中を押された」と。

本イベントを成功させる為に何ヶ月も前から準備に取りかかってきた34人の壇上者と運営スタッフたち。ここにくるまでに彼らはあらゆることを犠牲にしてきたことを僕は知っている。たった5分のピッチの為に何度も何度も伝えたいことをあぶり出し、時にお互い厳しい意見をぶつけ合いながらレベルを高め、台本もスライドも当日ギリギリまで改善し続けてきた。それぞれに抱える問題を乗り越えて当日この場に立った。運営スタッフも徹底的に彼らをサポートする。運営スタッフを含めた全員でこの場を作り上げたのだ。

「社会を変えたい!」と自分なりの方法で、頭で考えただけではなく、本を読んだだけでなく、実際にリスクを取って行動に移している彼らの言葉はとてつもなく重く響く。活き活きと話すその姿は美しく、彼らの言葉は共感を集める。

「そんなのやめたほうがいいって」

「よくやるよ(笑)」

「儲からないのにバカだよね」

SUSANOOメンバーは幾度となく反対の言葉を浴びてきた。そして現在進行形で浴び続ける。それでも自分の信じた領域で社会を変えたい!と諦めずに実際に行動に移す。そんな異端児が集まっているのだからこそこのコミュニティは強いに決まっている。

参加者全員が共犯者となった今回の『SUSANOO FES 2016』。

参加者はもう後戻りは出来ない。彼らの活動を見てしまったからには、自分自身も何らかの形で社会に向き合わざるを得なかったはずだ。それは起業とまでいかなくても、興味を持った起業家のサポートという関わりかもしれない。いずれにせよ、このFESは、あらゆる人の退路を断つ強烈な強さを秘めたものになってしまったかもしれない。 

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書き手/SUSANOO3期メンバー (社)日本ふんどし協会 会長/中川ケイジ

大学卒業後、美容師に。その後、転職するも会社に馴染めず苦悩する。3.11の震災をきっかけに鬱病を発症。その時たまたま出会った「ふんどし」の快適さに衝撃を受ける。「ふんどしで日本を元気にしたい!」と強い使命感が芽生え独立起業。おしゃれなふんどしブランド『SHAREFUN®(しゃれふん)』(http://sharefun.jp/)をスタートさせると同時にふんどし普及に特化した(社)日本ふんどし協会(http://www.japan-fundoshi.com/)を設立。

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