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企業にいるだけでは得られない世界が開ける!電子部品メーカー社員がプロボノ活動で磨いた「応援力」

2024.10.09 

近年、社会貢献活動のひとつとして、本業で培った経験やスキルを活かして社会課題解決に取り組む「プロボノ」が注目を集めています。社会貢献がしたいという理由に加え、自身の活動の場を増やす、スキルを磨く、という視点からプロボノ活動に取り組む人は少なくありません。

 

人生100年時代、職場と家庭だけでなく、多様な関係性を社会の中で持つことが豊かな人生に重要とされています。

 

本特集では、プロボノとして社会課題解決にチャレンジする人を支える「応援コーディネーター」へのインタビューを連続でお届けします。応援コーディネーターとは、and Beyondカンパニー(※1)が主催するBeyondミーティング(※2)というブレスト会議の場で、登壇者をサポートする応援隊です。

 

ブレスト会議前には伴走役として登壇者の発表内容のブラッシュアップを行い、ブレスト会議当日は多様な参加者が集まる場でファシリテーションをしながら場を盛り上げます。

 

第2回目は、電子部品メーカーに所属しながら応援コーディネーターとして新しい世界に常にアンテナを立て、社内や地域でも「応援フル」な場づくりに取り組む安田さんの素顔に迫ります。

 

安田 圭佑(やすだ けいすけ)さん

京都の電子部品メーカーで工場の環境負荷低減に貢献する新規事業の立ち上げを担当。社内の有志団体ではWill(やりたいこと)を月1回のペースで発掘する『Willステップ』を企画運営。NPO法人ETIC.のBeyondミーティングで2年間プロボノとして応援コーディネーターに従事。「なんかええやん!」を合言葉に関西版Beyondミーティングを同志と共同主催。一乗寺ブックアパートメントなどのシェア型書店の棚主。

 

社内で自分の「Will(やりたいこと)」を発掘するワークショップを有志で開催

――普段のお仕事を教えてください。

 

電子部品メーカーで新規事業を担当しています。滋賀県の事業所を拠点に、環境に優しい商品の開発に取り組むマテリアルビジネス企画職です。主な業務は新商品の営業、広報、パートナリングで、中国や日本市場のお客様と毎日やり取りをしています。

 

理系出身だからか、新しい事実やデータが明らかになる瞬間や、仮説が検証されるのが楽しいです。

 

――安田さんのライフワークで特に力を入れていることがあれば教えてください。

 

社内で、自分のなかにある「Will(やりたいこと)」を発掘する『Willステップ』というワークショップを有志団体で始めました。このワークショップは、自分の意志を見つける方法を一緒に学び合う場で、毎月20名が参加できるよう、全国の拠点をつないで実施しています。

 

現在は自分が所属する拠点に加えて、本社や地方の拠点を繋いで開催しており、今後はさらに多くの拠点に広げていきたいです。

 

安田さんの推し本の数々。書店の一角で「推し本」も売っている

 

私生活では、読書が好きで、読んだ本について話をする読書会に参加したり、自分で開催したりしています。

 

京都在住なので「一乗寺ブックアパートメント」というシェア型書店で、推し本10冊について語り合う読書会を開催しています。

 

兵庫県のコワーキングスペースでの読書会での様子。前方に立つのが安田さん

現地で努力している人々の想いを知り、応援する気持ちを持つことができるように

――応援コーディネーターを始めてみてどうでしたか。

 

最初は、コロナ禍で自粛モードが漂う中、偶然Peatix(イベントプラットフォーム)でBeyondミーティングを見つけて参加したのがきっかけです。応援コーディネーターを始めてみると、挑戦者が取り組む社会課題が毎回異なるため、新しい世界を知ることができて新鮮でした。

 

挑戦者の応援をすることで全く知らなかった分野について学べますし、イベント当日は他の挑戦者のピッチを聞けるのもBeyondミーティングに参加する楽しみの一つです。

 

2024年8月に開催された「地域課題に取り組む学生たちを全力応援!Beyondミーティング」では、石川県珠洲市で地域課題に取り組む学生が登壇

 

――印象的な挑戦者を教えてください。

 

今年8月に開催されたBeyondミーティングで、日本全国の地域で地元の企業経営者やNPO団体のリーダーの右腕となり、地域課題に取り組む学生が登壇する回がありました。

 

そのなかで、能登半島地震で被災した石川県の珠洲市(すずし)の復興と活性化に取り組んでいる学生がいたのですが、彼のピッチは特に印象に残りましたね。

 

「被災地」という言葉をメディアで頻繁に聞くと、危険や恐怖といった不安が先行しがちです。でも、ピッチを通じて現地で努力している人々の想いを知り、悲しむだけでなく応援する気持ちを持つことができました。

企業内で新たなことに挑戦している人を応援するのが一番好き

2023年開催されたBeyondミーティングで、安田さんは企業の社内でチャレンジをする伊藤 優希さん(日本航空株式会社)の登壇を応援コーディネーターとしてサポートした

 

――安田さんは、どんな挑戦に特に関心がありますか。

 

企業内で新たなことに挑戦している人を応援するのが一番好きです。企業の中で新しいことに挑戦するのは非常に価値あることですが、残念ながら社内での応援やサポートを得られることは少ないのが現状です。

 

多くの場合、評価者が存在し未達成の売上や利益についての指摘が優先されることが多く、応援不足な環境だからこそ、社内でチャレンジしている人を応援したいと思っています。

 

――安田さんが勤務している社内でもBeyondミーティングを主催されていますよね。応援フルな場を社内につくることでなにか気づきはありましたか?

 

企業内で社員が困っていることを解決できる場も必要ですし、挑戦しようとしていること自体がすごいことなので、まずは応援できる場を自分の社内にもつくりたいという想いがあります。

 

社内Beyondミーティングを主催してみて、協力を必要としていたり、求めていたりする人は実はたくさんいるんだと気づき、また、それと同じくらい応援したい人もいるということを発見しました。

 

同僚で応援コーディネーターをやりたいという人もみつけ、社内でも少しづつ仲間が増えています。

 

株式会社Sun Asteriskで開催されたBeyondミーティングで、登壇者の伊藤さん(一番右)の応援コーディネーターとしてブレストをファシリテーションをする安田さん(中央)

食卓で、さまざまな社会課題が話題にあがるように

――応援コーディネーターとしての経験が、普段の仕事や生活に役立っていることはありますか。

 

私生活では、家族とさまざまな社会課題や身の回りのことについて話し合うことが増えました。

 

先日は、山ぶどうやくるみの木の皮を使った伝統工芸のバッグをつくっている挑戦者の応援コーディネーターをしたのですが、今まで木の皮やバッグについて考えたことなんてなかったので、子どもを合気道教室に連れいていく途中に「かばんを選ぶときに、どんなことを考えて選ぶ?」「何を大事にする?」と会話をしながら歩きましたね。

 

――ご家族にも、安田さんのプロボノ活動を通して社会課題について考える機会が生まれているんですね。

 

はい。「自分の世界を広げる」ということを大事にしているので、応援コーディネーターをやることで月1〜2回、今までアンテナが立ってなかったようなことにもひっぱられてみるのは楽しいです。

 

2人の娘のお父さんでもある安田さん。食卓や週末、家族とゆったり過ごすなかでも自然と会話に変化が現れた

 

――応援コーディネーターを始める前と後で変化したことはありますか。

 

自分もチャレンジをすることが増えましたね。

 

社内で「Beyondミーティング」を開催したり、関西の応援コーディネーター仲間と「関西版Beyondミーティング」を開催したり、社内や地域で応援フルな場を主催し、チャレンジすることの大変さもわかるようになりました。

 

また普段から相手に対して「すごい」「おもしろい」「好きだな」といったポジティブな気持ちを素直に持てるようになったのも大きな変化です。

 

応援力があがると「この人に話すとアイデアがもらえるかも?」と思ってもらいやすくなり、打ち明けてもらいやすくなります。社外から声をかけてもらえる機会も増えました。

誰かの応援をすることで「自分はなにをやりたいんだっけ?」という問いを持てる

 

――最後に、応援コーディネーターはどんな方におすすめか教えてください。

 

縁の下の力持ちで、サポーター気質の人に向いていると思います。プロボノで活動していると「会社の利益につなげないといけない」というプレッシャーや損得勘定なく、純粋に大企業で挑戦する人たちやスタートアップの人たちがやりたいことに寄り添えます。

 

また、誰かの応援をすることで「自分はなにをやりたいんだっけ?」という問いをもち、自分をみつける機会にもなります。誰かを応援することで、自分のやりたいことが見つかる確率もあがる。誰かのためなら頑張れる、という人はぜひトライしてみてください。

 

――ありがとうございました。

編集後記

クールな淡々とした佇まいのなかに、静かな情熱を強く持っている安田さん。

これからも自分の知らない新しい世界を開き、誰かの挑戦を応援し続けることで、家族・組織・地域にチャレンジが生まれる環境を作っていかれるんだろうなと感じました。今後の活動も楽しみです。

 


 

応援コーディネーターの活躍も楽しめる次回開催のBeyondミーティングは、こちらをご確認ください。

わたしも応援隊をしてみたい!という方は、ぜひこちらからまずは「応援コーディネーター募集説明会」にご参加ください。

 

安田さんは現在、3ヶ月の期間限定でプロジェクトをサポートする「Beyonders」で、「推し本10冊で語り合うBOOK BAR」の活動に一緒に取り組む仲間を募集しています。詳細はこちらをご覧ください。

https://beyonders.etic.or.jp/projects/76

 

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※1…and Beyondカンパニー「意志ある挑戦があふれる社会を創る」をミッションに活動する企業とNPOによる共創コンソーシア厶。立場や組織の垣根を超え17社が参画している。

※2…Beyondミーティングand Beyondカンパニーが主催する全力応援ブレスト会議。組織・立場・世代を越えて誰もが自由に参加できる場として毎月開催されています。

 

この記事を書いたユーザー
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芳賀千尋

1984年東京生まれ。日本大学芸術学部卒。 20代は地元と銭湯好きがこうじ商店街での銭湯ライブを開催。 1000人以上の老若男女に日常空間で非日常を満喫してもらう身もこころもぽかぽか企画を継続開催。2018年からETIC.に参画。

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