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新たな帆を掲げ、さらなる高みへ。NPO法人クロスフィールズの第2創業期を支える乗組員を募集中! (代表理事・小沼大地さん、事業統括・中山慎太郎さんインタビュー)

2016.01.21 

NPOで働くうえで最も大事なことは、より良い未来を創り出そうという情熱ではないでしょうか。日本国内にかぎらず、世界中にあふれる課題に対して、知恵を絞り、工夫を凝らし、皆で力を合わせて解決する。言葉にするのは簡単ですが、そこには多くの困難があり、常に様々な挑戦と苦労があります。しかし、そんな困難な状況すらも情熱によって推進力に変えてしまう。そんなマインドを持った仲間が集う場所が、「NPO法人クロスフィールズ」です。

今回は代表を務める小沼大地さんと留職事業の事業統括をする中山慎太郎さんにお話を伺いました。 クロスフィールズTOP

NPO法人クロスフィールズ

小沼大地、松島由佳の両氏によって2011年に創業されたNPO法人。「社会の未来と組織の未来を切り拓くリーダーを創る」というミッションを掲げて、新興国のNPOと日本の企業とをつなぐ「留職プログラム」を展開。企業のリソースを活用して社会課題の解決を加速するとともに、日本企業のリーダー育成、現地理解、組織の活性化を図る。

創業5年目の手ごたえ。「人」づくりと、その先にある「コト」づくりへ

―クロスフィールズとはどんな団体でしょうか。

 

小沼大地さん(以下、小沼): 私たちが掲げるビジョンは2つあります。ひとつは、すべての人が想いや情熱を持って働くことが当たり前の世界を創りたいということです。とくに現代の日本社会では、企業で働いている人たちがそうした「情熱をもって働く」という状態からは遠いと思っています。私たちは、目を輝かせて働く人たちというのを、発展途上国や新興国での社会課題解決の現場でたくさん見てきました。それを日本社会でもぜひ実現したいのです。

もうひとつは、企業・行政・NPOといったセクターの垣根を超えて、一緒に社会課題の解決をしていく世界を創りたいということです。特に、社会貢献の世界とビジネスとの世界をつなげて新しい価値を生むことに、いまは取り組んでいます。 情熱を持った人が増えれば社会課題の解決も進むし、社会課題の解決に取り組むことで想いを持って働く人も増えると思います。私たちはそういう世界観の実現を目指しています。 小沼さん

代表理事・小沼大地さん

―創業から5年が経って、手ごたえは感じていますか。

 

小沼: 創業以来、基幹事業として留職プログラムを展開してきましたが、これまでに25社に導入していただき、今年は節目となる100名の派遣が達成できる見込みです。まだ発展途上ではありますが、ひとつの事業を形にするところまでは持ってこれたと感じています。この5年間は、留職に参加する人たちに伴走し素晴らしいストーリーを間近に見ることができ、とてもワクワクしながら勇気をもらった素晴らしい時間でした。

一方で、我々が掲げたビジョンに近づけたかというと、まだまだ届いていないと感じています。留職プログラムを通じて、現地社会に貢献するとともに、多くの人にリーダーとしての成長を実感してもらってきていますが、留職に行った人が企業のなかでさらに活躍するための環境づくりや、その経験を社会に波及していくために十分な支えができているかといった点が、次の大きなステップになると考えています。

 

中山慎太郎さん(以下、中山): いま、そのための取り組みにも着手しています。ひとつはAlumni(アラムナイ、卒業生の意)のコミュニティ組成です。留職では2〜3か月、長い人は半年程度、新興国の現場で仕事をして帰ってきて、また自分の所属する会社で仕事するわけですが、そこで得た学びをどうやって日本の企業に活かすか、会社を巻き込んで変えていくかというところで、大変だという思いをみなさん抱えているようです。

孤軍奮闘していても、共感を得られなければ情熱の火は小さく、消えていってしまいます。僕たちがやりたいことを実現するためにも、一度火のついた人たちの心に薪をくべ続けるような取り組みを行っていくことが重要になるなと日々感じています。それには、僕らだけでなくAlumniの方々を巻き込んで、留職という共通する原体験を通じて意見交換をしたりして、何か「コト」づくりにつなげていけたらいいなぁ、と思っています。 中山さん

事業統括・中山慎太郎さん

―日本の企業も変わりつつあるとは思いますが、やはり実際に声をあげて中から変えていこうとするのは大変なことですよね。5年間で社会が変わった感触はありますか。

 

小沼: かなり変わりましたね。日本では、東日本大震災を契機に多くの優秀なリーダーたちがNPOの世界に参画したことが大きいですし、企業側もNPOの活動の意義に対する理解が一気に進んだと思います。また、最近ではCSV(Creative Shared Value:共通価値の創造)という言葉も注目されるようになりました。そういう意味で、ビジネスの世界での潮流が、NPOの目指す方向に近づいてきたように感じます。

大企業のトップメッセージなども、NPOが掲げるビジョンと非常に近く、目指しているものはほぼ同じだと感じることも多くあります。「同じ世界観で動いているんだな」と実感する機会が増えてきています。その中で我々は「クロスフィールズ」という名前のとおり、さまざまなフィールドをクロスさせることを、ひたすらにやり続けていきたいと思います。 インドで村落部の小規模小売店を流通面で支援する社会的企業にて、電機メーカーの研究者が6ヵ月の留職に取り組んだ事例

インドで村落部の小規模小売店を流通面で支援する社会的企業にて、 電機メーカーの研究者が6ヵ月の留職に取り組んだ事例

企業にとどまらず、NPO・ソーシャルセクターへも留職を展開していきたい

―NPOと企業のビジョンが似てきたという変化は、確かに様々な場所で耳にするようになりました。でも、目指すものが同じだとすると、NPOで働くことのメリットは何だと思いますか。

 

小沼: 一番大きいのは熱量だと思います。「社会を変える現場」として、仕事に熱を込めやすい環境でしょうね。もちろん、企業で情熱をもって働く人も多くいると思いますが、例えば仕事が細分化されていたり、複雑なバリューチェーンのなかにいるために自分がどんな仕事をしているのか感じにくい、情熱を持ちにくいということはあると思います。NPOは逆に、自分の仕事の社会に対する価値が見えやすく、仕事に対して誇りと情熱を持って働ける環境なのです。また、企業と比べればリソースは少ないですが、それは同時に、個が思い切りリーダーシップを発揮できる環境なのです。

 

中山: 私は以前、JICAに7年、その後総合商社に2年ほどいて、途上国のインフラ整備に携わっていました。途上国において、インフラというマス・インパクトをもたらす切り口で関わっていたわけですが、当時を振り返ってみると、「その仕事がどんなふうに、誰の幸せにつながっているのか」という実感を得られる機会は必ずしも多くなかった気がします。仕事の規模や組織の規模が大きくなると、そういった実感を自分自身が肌で感じるのはどうしても難しくなる。直接肌で感じることが難しいぶん、「この仕事は、この問題に対して、きっとこういうふうにつながるはずだ」「この仕事はめぐりめぐってこういうふうに誰かの役に立っているはずだ」という想像力をいかに持つことができるかが重要になってくるな、と感じながら仕事をしていました。

一方、NPOに身を置いてみると、これまでの仕事では想像力で補っていた「手触り感」がものすごい。実際にすぐ目の前にある課題や人に対して、自分の仕事が直接的につながっていることが実感できる仕事が多いです。企業と比べると活動規模としては小さいところも多いですが、「手触り感」と情熱を持って、社会課題に対して真正面から向き合って活動をしているNPOで実際に働くという経験と、私の前職のように大きな組織で大きなインパクトを志向する企業で働いた経験の両方を持った人が増えていくと、それぞれの仕事が、より活性化していくのではないかと思っています。 インドネシアの小規模の水力発電を運営するNGOで留職に取り組む二人の日本企業の社員

インドネシアの小規模の水力発電を運営するNGOで 留職に取り組む二人の日本企業の社員

―マス・インパクトはわかりやすいですが、ソーシャル・セクターの実績は、なかなか数字では表しにくいですよね。そうした社会的インパクトについてはどのように捉えていますか。

 

中山: 点で考えるのではなく、「深さ×広さ」「質×量」と考えています。留職プログラムは今の時点ではある程度深くまで入り込むことはできていると感じていますが、今度はそこにどれだけ広さを持たせられるかというところですね。両方のベクトルをいかに伸ばしていくかが社会的インパクトにつながると思います。

 

小沼: クロスフィールズの行動規範(CROSS FIELDS WAY)の1つに、「企業とNPO、それぞれに寄り添う」というものがあります。留職プログラムは企業にもNPOにも価値を提供するプログラムですが、今までかなり企業のニーズに応える形で設計をしてきた側面があります。今後はNPOやソーシャル・セクターの側のニーズを起点とした事業も展開していきたいと思っています。これまでは企業からお金をもらって行うモデルが中心でしたが、政府系機関や財団などから支援を受け、NPOやソーシャル・セクターを直接的に支援するような活動も展開していきたいという構想もあります。そうすることで活動に「広さ」を求めることもできるのではないかと考えています。 CROSS FIELDS WAY

オフィスにも掲げられている「CROSS FIELDS WAY」

―国際協力という言葉が出てきましたが、似たような活動をしている団体は海外にもあるのでしょうか。

 

中山: アメリカには、留職プログラムに近いICV(International Corporate Volunteerism)という活動を10年以上にわたって実践しているPYXERA Globalという団体があります。彼らにはクロスフィールズの創業時代からいろいろとアドバイスももらっており、私もそこの主催するグローバル・カンファレンスに出席してきました。国連の掲げるSustainable Development Goals (SDGs)の実現に向けて何ができるか、トライセクター(企業・行政・NPO)で手を組んで考えるカンファレンスです。経済的便益にとどまらない、世の中の課題が解決されること自体を利益・価値として捉え、トライセクターで協力して課題解決を促進していくという動きが世界では起きつつあることを肌で感じました。その波は日本にも必ずやってくると思います。我々もそのための流れをうまく作って、ウェーブを起こしたいですね。

 

小沼: 海外の人たちと話をしていて感じますが、実際、日本のソーシャル・セクターは結構イケてると思うんですよ(笑)。だからもっとグローバルに出て行っていいはずです。PYXERAの人たちも、そろそろ私たちの活動を見て「お前らやるな」って思っているころでしょう(笑)。ただ、この世界は決して追いつけ追い越せの競争をする場所ではありません。自分たちがやっていることが最先端で、自分たちで未来を拓いていくんだというメンタリティでやっていくことが大切で、同時に、そこで生まれた新たな取り組みはどんどん共有しあうべきだと思うんです。 小沼さん、中山さん

なんと、学生時代からの友人だという小沼さんと中山さん

突貫工事のイカダから、6年後を見据えた船へ乗り換えるタイミング。第2創業期を共に航海する乗組員求む!

―これまでの活動や社会の変化について伺ってきましたが、今後についても伺いたいと思います。「今後」というのは、どのくらいのスパンで考えていますか。

 

小沼: いま気持ちとしては、第2創業の真っただなかにいます。まさに中期計画をつくる議論を始めたばかりのところですが、そこでイメージしているのは6年後の2022年です。今、世間はオリンピックに向けてのうねりが大きいですが、問題はオリンピック後の世界をどうデザインするかだと思っています。

 

―2022年までにこれだけはやりたいということはありますか。

 

中山: 留職者の方々、留職先として留職者を受け入れてくれている派遣団体、そして留職プログラムを導入して下さった企業の事務局の方々、これまでにクロスフィールズの掲げているビジョン・ミッションに共感し、一緒に歩んできてくださった方々と、6年後も一緒にこの世界観を広げている活動を続けていられればと思っています。これまで関わって下さった方々と点で終わる付き合いにはしたくないなと。これからも関わり続けることで、もっともっと深い関係になっていきたい、そうした取り組みを通じて、クロスフィールズに関って下さっている方々、支援して下さっている方々の大きな輪を作って、そこから色々なことを仕掛けられている、そういうプラットフォームが作れたらと思っています。

 

小沼: 本当にその通りだと思います。そして一番大事なのが自分たちの信念をまげないことです。いまの自分たちの枠や既存の事業にしばられず、あるべき世界のあり方を考えて、その実現に真摯に向き合っていきたいと思います。協働とかコラボレーションって言葉は易しいけれど、誰かと何かを一緒にやるって、本当に大変なことなんですよね。これまでも多くの企業やNPOと関係性を築かせていただいていますが、あるべき協働やつながり方はまだまだ手探りの状態です。これからも国境やセクターの枠を超えて対話していくなかで、ともに新しい未来を一緒に切り拓いていきたいです。

 

―今回、その目標実現のために人員を募集することになったということですね。

 

小沼: はい、そうなんです。私たちの団体のロゴは帆船なんですが、最初は共同創業者の小沼と松島が、たった2人で船どころかイカダからスタートしたような状態で。本当に手探りで、お互いが漕ぎながら前後を確認し合って、ほんの少しずつ前に進んでいくような状態でした。そこに1人、また1人と人が加わってきて、突貫工事でイカダを大きくしてきた感覚です。 ただ、これから更に大きなうねりを創りだしていくには、今こそ船を乗り換える時期だと捉えています。ちゃんと設計した船をつくって、6年後を見据えた乗組員の配置や航路を考えていく段階です。航海をともにする仲間がより先を見据えて安心して働けて、それによってより大きなインパクトを生み出していく。そんな組織を作っていきたいと思っています。そんな新しい船に乗り込んで、僕たちと一緒に航海に出たいという人を、いままさに探しています。 ロゴ

CROSS FIELDSのロゴ

―新たな船出ということですね。具体的にどのような人材を求めているのか伺いたいと思います。

 

小沼: まずは、法人営業担当から。今後ますます事業を拡大していくにあたって、新しい企業とさらにつながり、そことの関係性をさらに濃くしていくことが求められています。そのなかで、クロスフィールズの活動の価値を熱く語るとともに、企業のニーズを聞いて形にしていくという仕事が、法人営業の仕事です。顧客に何かを提供するというより、企業のなかに仲間を見つけて、その人たちと何かを仕掛けていくような仕事だと考えてもらえたらと思います。また、いまは私自身もかなり法人営業に関わっていますが、その方の志向性によっては、営業のチームをリーダーとして引っ張っていくことも期待しています。

 

―そして広報ですね。NPOでは広報はかなり重要な役回りかと思います。

 

小沼: そうですね。取材依頼やプレスリリースの作成など、メディア向けのコミュニケーションのすべてを担当するとともに、様々な対外的なイベントの企画と運営を担っていただきます。法人営業のチームとともにマーケティング活動の一端も担いますし、ブランディングの戦略も外部専門家とともに考えます。それに、これからはグローバルにも発信していこうとしていますので、海外向けの広報活動の強化も必須です。 広報の重要性は本当に大きいです。もちろん広報分野やマーケティング分野での経験があることは望ましいですが、様々な人たちと一緒になにかを創り上げていくためのコミュニケーション能力や調整能力の高さ、様々なことを自ら仕掛けていくような企画力が何よりも大切だと思っています。

 

―続いてバックオフィスで支援する管理部門はどうでしょう。

 

小沼: 管理部門は扇の要だと思っています。経理・財務・総務・労務、場合によっては法務なども含め、幅広すぎる役割を担っていただきます。ジェンダーというわけではなく、組織に安心を与える「母性のある人」が適任だと思っています。ある程度はルーティンが多い仕事ではありますが、そのなかで様々な改善をしていきながら、縁の下の力持ちとしてチームを支えることにやりがいを見出せる方に来ていただきたいです。経理や総務の専門性はあれば望ましいですが、必須ではありません。これからさらにメンバーも増えていくなかで、良いチームを一緒に創っていきたいというモチベーションの方が適任だと思っています。 オフィス

目黒川沿いにある、リノベーションオフィス

―そして最後に、留職事業を担うプロジェクトマネージャーの募集ですね。

 

中山: 日本と新興国を行き来しながら、留職プログラムの企画設定・実施運営を一貫して担当する最前線の仕事です。留職プログラムをどう発展させていくか、パートナー企業とどのように成長していくか、そういったより深いレベルでのコミュニケーションや、企画・立案して推進していく力のある人を求めています。パートナーにとって、単なる「留職屋」ではなく、プライマリー・カウンセラーのような存在になれるくらい、深く関わろうという気持ちで取り組んでほしいですね。

これはどんな仕事でもそうだと思いますが、こうした視点がないと、だんだんと仕事はルーティン化してしまいます。そうではなくて、留職プログラムを、より価値があり、わくわくするものにするためにどうしたらいいか、自分で価値を見出しながら、日々一緒に議論できるような人に入ってもらいたいと思います。

 

―ありがとうございます。それでは最後にクロスフィールズという職場の魅力を教えてください。

 

中山: メンバーは平均32歳という、エネルギーに満ちあふれた職場です。皆が組織の外に向けて全力で仕事に向かい、この組織に戻ってくることで、またエネルギーがチャージされる。そんな職場をつくっていきたいと思っています!

 

小沼: クロスフィールズは他のNPOと比べてもビジネスの現場との結びつきが強い団体で、企業勤めの経験が豊富でプロフェッショナリズムのある仲間が多く集まっています。同時に、私たちは海外のNPOや日本国内の課題解決の現場とともに仕事をする組織であり、熱い情熱や想いの重要性も認識しています。もっともっと高みを目指していますが、情熱とプロフェッショナリズムの2つを高いレベルで両立させている団体だと自負しています。そんな仲間たちとともに新しい挑戦をしていきたい方を、待っています!  

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小沼さんは、社会起業塾イニシアチブ(以下”社会起業塾”)のOBです。社会起業塾は、セクターを越えた多様な人々の力を引き出しながら、課題解決を加速させていく変革の担い手(チェンジ・エージェント)としての社会起業家を支援、輩出する取り組みで、2002年にスタートしました。興味のある方は、ぜひチェックしてみてください!

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中林 智

1981年生まれ。神奈川県鎌倉市出身。自由学園卒業後、金融コンサルタントとしてリスク分析の仕事に従事。中堅出版社に転職、編集者を経てフリーランスに転向。ライター兼編集者として活動。「人に楽しんでもらえる辞書づくり」をライフワークとする。趣味は楽器演奏。