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野性的に、わがままに。「いま、これが好き」が真実。「かぐれ」ブランドプランナー・渡辺敦子さん(後編)

2016.06.23 828view 

シリーズ「彼女の仕事のつくりかた」第1回目は、天然素材と手仕事の店「かぐれ」ブランドディレクターをされていた渡辺敦子さんです(前編はこちら、中編はこちら)。現在は岩手県遠野で母として新しいプロジェクト「Next Commons Lab」に取り組まれている渡辺さんは、東京ではどのような働き方をしていたのでしょうか?

「好き」だから選ぶ。ひとには本来、野性的な勘があると思う

桐田: 想いがかたちになったなって感じた瞬間は、お店がオープンしたときでしたか?

渡辺: いや、オープン当日は朝6時くらいまで大工さんがいて、徹夜でお店作りを一緒にやっていて、前日まで棚もないとか、そういうレベルで(笑)。朝6時に完成して、掃除機かけて商品入れて、お昼のオープンまでにシャワー浴びに帰って、また戻ってオープン、みたいな状況だったから。

桐田: すーごくバタバタだったんですね……!!

渡辺: ほんとうにすごいバタバタ(笑)。かたちになってきたなって実感するのは、仲間ができたときだと思います。「言ってること、分かるよ」「かぐれのことが好きだから協力するよ」って言ってくれる人が今はいっぱいいて、それが嬉しいんです。

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桐田: 「かぐれ」を生み出す過程の中で、たとえば周囲の目ですとか、気にしてしまうけど振り切ったものはありましたか? ここまでお話をうかがっているとなさそうですが(笑)。

渡辺: そう、そこがほんとうにないんだと思います(笑)。人から相談を受けるけれど、なぜ悩むのか、人に相談するのか、よく分からないんですよね。私自身、2つ目の大学への進学を決めたときも、離婚したときも、誰にも言わずに事後報告みたいな感じだったので。

大学の恩師の高柳先生が、「好きにやったら後悔しないよ」っておっしゃっていたんです。本当にそうだなと思っていて。自分が「こうだ」と思うことをやっちゃえば、もう自分にしか責任がないじゃないですか。あとで「あのときの自分がばかだったな」と思うしかないので。だから、犠牲になっているものも、捨てているものもきっといっぱいあるはずなんですけど、そっちを捨てるということより、「こっちを取る」ことのほうに夢中になってるんだと思います。

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どんなものでも「自分が積極的にそれを選んでいる」のなら、幸せ

桐田: 「かぐれ」はほんとうに多種多様な企画展をされていますよね。内容はかなり社会派ですけど、お説教くさくないのがとても好きで、気持ちがいいなあって思っていました。それは渡辺さんのお人柄からきてるんだろうなって、お話をうかがっていてすごく思います。

渡辺: まじめに勉強しましょうっていうのって、全然面白くないですよね。やっぱり、どれだけ楽しむかとか、こっちの世界のほうが楽しいですよっていうのを見せる方が、人は動くと思うので。

桐田: たとえばオーガニックコットンを取り扱っているお店でも、怖いことを言うお店と楽しそうなお店と、ざっくり二つに分かれるように感じていて。怖いことを言うお店ではなんだか脅されている気分になるんですけど、「かぐれ」ではそういうことがないんですよね。

渡辺: 私がそういう人間なんです。楽しい方がいいじゃないですか。美味しい方がいいですしね。オーガニックって、どうしても、そうじゃないものがどれだけ悪いかっていう話になりがちなんですけれど、もったいないなあと思っています。それよりも、オーガニックがどれだけいいかを語った方がいいと思っていて。「農薬が環境を破壊する」と言われてもどうすればいいのだろうと感じてしまう人のほうが多いと思うので、その状況は変わらないかもしれないけれど、自分の身をよくすることはできるから、そっちに視点を合わせる方がプライオリティー高いんじゃないかなと感じていて。

どんなものでも、自分が積極的にそれを選んでいるのであれば幸せなんですよね。けれど、それが選べないときもあります。オーガニックの食品を食べたいけれど外食しなきゃいけないとか、近所のスーパーに売っていないとか。オーガニック以外を否定していると、そういうときに自己嫌悪に陥る可能性があるんです。それがすごくもったいないと思っていて。

桐田: 「かぐれ」の気持ちよさは、そこがポイントなんですね。

渡辺: 怒られるのとか嫌ですよね(笑)。注意されるのも。

桐田: そうですよね、本当に。そして、きっと渡辺さんが好きなものを好きにかたちにしていった結果だからというところも、大きいように感じます。

渡辺: そうですね、好きだから選ぶという感じですもんね。正しいから、とかじゃなくて。私の友だちのひとりは、直感で「きれい」だとか、「輝いている」とか、「美しい」を基準にものを選ぶと言っていて。そう選べるようになると、なんでも選べますよね。ものの背景が分からなくても、勘が「いい」と言っているからって。本来、人間にはそういう力があるんじゃないかと思っています。野性的な力というか。頭で考えるよりも、身体に聞くのがいいのだと思います。

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たとえば、お菓子ひとつから。「好き」を直感で選ぶと、どんどん思考がクリアになる

桐田: ものだけではなくて、その野性的な勘で生きていく道を選べるようになりますよね。それが、自分の生き方をつくるということに繋がりますよね、きっと。もし、自分の直感に自信が持てない人がいたとしたら、渡辺さんだったら、どんな言葉をかけますか?

渡辺: 一回、信じてやってみるっていうのは大事じゃないでしょうか。お菓子の選び方でも、ルーティンで選ばないで今日どれが食べたいか勘で決めてみるとか。それがはまればいいですよね。

私は、アトピーを克服するために一時期厳密にベジタリアンだったときがあって、その時期は勘が冴えることがすごくあったんです。ベジ経験者に聞くと、同じように感覚が鋭くなるっていう人は結構いて、そういうことを試すのも面白いかもしれないですね。

桐田: 丁寧に育てられた食べものを知るともう他を食べられないとか、心地のいい服を着ると着心地の悪い服が着られないとか、そういうことを繰り返していくと、解像度が上がって、勘が磨かれて、自分の快と不快をちゃんと分けられるようになるんでしょうね。

渡辺: そうやって、自分の好きなものを直感で選んでいくと、自分がニュートラルに保てるようになって、仕事もたぶん上手くいくようになると思います。いい状態にいるといい判断ができますから。惑わされずに、思考もクリアになると思いますよ。

桐田: それならできそうですね。今回のインタビューでは、読者のみなさんのヒントになる点がたくさんあったと思います。長いお時間お話を聞かせていただき、ほんとうにありがとうございました!

この後、第一子出産を前に岩手県遠野へ移住された渡辺さん。現在は母として新たなプロジェクトをはじめたばかりです。 そんな渡辺さんの遠野編インタビューは、次週掲載予定です!

この記事を書いたユーザー

DRIVE編集部・桐田理恵

DRIVE編集部・桐田理恵

NPO法人ETIC. DRIVE編集部。1986年生まれ、茨城県育ち。大学時代は文芸の研究をしつつルワンダ人とのコミュニケーションを楽しみ、2011年より医学書専門出版社にて企画・編集職に就く。精神医学や在宅医療、緩和医療の書籍づくりを経て、2015年よりDRIVE編集部の担当としてNPO法人ETIC.に参画。

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