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災害被災地支援などで「支えになりたい」想いを納得できる寄付で届けるために知りたいこと―日本ファンドレイジング協会 事務局長 小川 愛さん【後編】

2024.02.22 

「自分にできることはないだろうか」

 

災害が起こった時、または一つの社会課題に対して「何とかしたい」という思いがふくらんだ時、いてもたってもいられない気持ちで自分ができることを探した経験はないでしょうか?

 

寄付は、そんな一人ひとりの想いが「支援」になる方法として、最近、広く浸透するようになりました。寄付に関する記事も多く掲載してきたDRIVEでは、だからこそ知りたい、納得できる寄付をするために抑えておきたいことを認定NPO法人日本ファンドレイジング協会 事務局長の小川 愛(おがわ あい)さんに伺いました。 前回の記事では、最近の傾向、寄付をする時に気を付けたいことなどをお伝えしました。

 

今回は、消費行動と寄付で得るものの違い、災害支援の寄付をする前に理解したいこと、また、元大企業勤務だった小川さんが寄付を仕事にすることになった理由などもあわせてご紹介します。

 

認定NPO法人日本ファンドレイジング協会 事務局長 小川 愛さん

日本アイ・ビー・エム(株)でマーケティング、広報宣伝、社会貢献事業などに携わった後、2019年9月に認定NPO法人日本ファンドレイジング協会に入職、翌年4月に事務局長に就任。一般社団法人全国レガシーギフト協会の事務局長も務める。社会貢献教育ファシリテーターとして子どもの寄付教育事業に関わるなど、積極的に寄付や遺贈寄付の啓発活動などを行っている。

 

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寄付と消費行動のリターンの違い

 

――寄付と普段の買い物は、同じお金を出す行為ですが、大きな違いはありますか?

 

違いは、お金を出した後に「何を得るか」です。

 

普段の買い物では、お金を支払うことで自分のためのものを買ったり、満足感を得ることができます。

 

一方、寄付は、寄付した先にいる、困難な状況にあり支援を求めている人や解決が必要な社会課題に取り組む組織、団体に使われ、直接的な個人的な利益よりも、より広範囲な社会的利益に使われます。例えば動物の保護団体だと、犬が何匹無事に保護された、譲渡されたですとか、子ども食堂では子どもたちに笑顔が見られるようになった、コミュニティが活性化されてきたなど、寄付によって実現できた変化を寄付先から教えてもらうことになります。

 

これは、寄付をすることにより、「自分が社会に対して貢献できている」という個人の満足度やウェルビーイングの向上にもつながります。そう思える人が増えれば、社会全体のウェルビーイングも向上してくるのではないでしょうか。

 

――自分と社会のウェルビーイングの向上を感じることが可能になるのですね。

 

そのためには、自分のまわりに一人でも寄付をする人が増えることが大切だとも思っています。そういった人に囲まれると、「寄付をしてみようかな」と自然と思えることもあるのではないでしょうか。日本ファンドレイジング協会では、「寄付をしたい」と思える環境づくりとして、小中高校で社会貢献教育を提供しています。「寄付って何?」「非営利組織やNPOってどういう団体なの?」「寄付したお金ってどう使われるの?」といったことを子どもの頃から学ぶ体験ができれば、大人へと成長した時に、寄付への理解度も上がると考えており、また、非営利団体での仕事の担い手も増えると思っています。

 

日本ファンドレイジング協会では、寄付の啓発活動として、小中高校に社会貢献教育プログラム「Learning by Giving(LbG)」を提供している。子どもたちが社会課題について調べ、寄付先を決め、実際に寄付をするなど体験を通じて社会貢献活動や寄付の役割について知識を深めていく

 

「支援金」か「義援金」かは、一つの大事な判断基準になる

 

――災害支援の寄付について、最近の傾向のようなものはありますか?

 

もともと日本で寄付する人は、全体の30%台くらいにとどまっていましたが、2011年の東日本大震災をきっかけに大きく割合が高まりました。震災以降は45%以上の人たちが寄付をしているなど、「寄付が大きな支援になる」と理解されているのを感じています。

 

災害発生時の寄付先の選び方では悩まれたりもするとは思いますが、まず「支援金」か「義援金」かは一つの判断基準になるかと思います。

 

「義援金」は、被害者の方への寄付となりますが、日本赤十字社や赤い羽根共同募金などの受付団体によって集められ、自治体などを経て、数か月後に被災された方々にわたります。

 

「支援金」は、被災地を支援している団体への寄付となります。すぐに支援活動に活かされるのが特長です。

 

――寄付がどんな道筋をたどって、どう使われるのかを理解したうえで寄付をした方が後々に納得できますね。

 

そうだと思います。また物資支援もありますが、物資の場合、どうしてもタイムラグがあるので、現地に物資が届いた時には「もうたくさん集まっています」となることもあります。最新情報をチェックすることが大切です。

企業から寄付の仕事へ。今は「自分がやりたかったこと」だと思える

 

――最後に小川さん自身についてお聞きしたいのですが、今の仕事に就くことを決めたきっかけや理由はありますか?

 

私はもともと日本アイ・ビー・エム株式会社でマーケティングや広報宣伝などの仕事をしていましたが、きっかけは、2013年から退職するまでの6年間、社会貢献の仕事をしていたことです。当時は、企業として災害被災地支援、学校教育支援、NPO支援や社員のプロボノ活動などいろいろなプログラムを提供していました。

 

ただ、どうしても企業が現場の支援に携わることには限界もあり、企業としての役割を超えたところで社会貢献の仕事をしたいと思うようになりました。そんな時、ご縁があった日本ファンドレイジング協会 代表理事の鵜尾雅隆(うお まさたか)に相談している中で、「一緒に仕事をしないか」と声をかけてもらったんです。企業で30年くらい働いていたので、非営利組織で役に立てるかどうか気になっていたのですが、鵜尾から「企業で得てきたスキルを活かしながら、これからいろいろなことができますよ」と背中を押してもらって働くことになりました。

 

 

私の場合、非営利組織で仕事をしたいという気持ちから仕事を始め、企業では感じ得なかった苦労もありますが、もちろんやりがいも大きく、自分の選択に対して「本当によかったな」「自分がやりたかったことだな」と思えています。企業で培ってきたスキルや経験もとても役に立っているので、これからも、非営利ならではの文化やアプローチの仕方などで新しいことにチャレンジしていきたいです。

 

――「寄付を考えたい団体ではこういった人たちが働いている」と参考になるお話だったと思います。ありがとうございました。

 


小川さんが事務局長を務める認定NPO法人日本ファンドレイジング協会では、14回目となるファンドレイジングカンファレンス「FRJ2024(ファンドレイジング・日本 2024)」を2024年2月21日(水)から3月31日(日)の40日間にわたって開催します。

3月9日(土)のリアル(対面)とオンラインの融合形式で行います。 詳細はこちらをご覧ください。

>> 社会のお金の流れを変える「FRJ2024|ファンドレイジング・日本~新たにつながろう、共創の未来へ。」 2024年2月21日(水)開幕 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000059179.html

 

3月9日(土)に開催される特別対面イベントへの参加つきチケットは2月29日までの販売です。 オンライン視聴限定チケットは3月19日までの販売となります。

いずれもお申し込みはこちらの特設サイトから https://jfra.jp/frj/index.html

 


<寄付に関する記事はこちら>

>>はじめての寄付控除入門〜NPOへ寄付したら、税金が安くなる?(2020年版) http://xs737720.xsrv.jp/posts/14338

 

>>はじめての災害寄付入門~遠方からの祈りをどう支援の力に変えるか?(西日本豪雨への支援について) http://xs737720.xsrv.jp/posts/20997

 

<日本ファンドレイジング協会に関する記事はこちら>

>>世界と日本で生まれている新しいお金の潮流とは?常識にとらわれない「財団」のチャレンジ http://xs737720.xsrv.jp/posts/32229

 

>>寄付、そして「お金の流れ」に起きている変化。いま求められるファンドレイザーの役割とは? http://xs737720.xsrv.jp/posts/27900

 

<寄付先を選ぶ参考情報>

>>社会課題を解決するために活動中の団体や活動内容がカテゴリー別に一覧できる「社会課題解決中MAP」もあります。寄付先を選ぶ参考にしてください。 https://2020.etic.or.jp/

 


 

NPO法人エティックでも寄付を受け付けています。

https://kifu.etic.or.jp/

能登半島地震復興支援の寄付はこちらから受け付けています。

SSF災害支援基金プロジェクト 能登半島地震緊急支援寄付

https://saigaishienfund.etic.or.jp/donate-noto

Yahoo!JAPANネット募金 令和6年1月能登半島地震地域コーディネーター支援募金(エティック)

https://donation.yahoo.co.jp/detail/5545002/

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たかなし まき

愛媛県生まれ。松山東雲短期大学英文科を卒業後、企業勤務を経て上京。業界紙記者、海外ガイドブック編集、美容誌編集を経てフリーランスへ。子育て、働く女性をテーマに企画・取材・執筆する中、2011年、東日本大震災後に参画した「東京里帰りプロジェクト」広報チームをきっかけにNPO法人ETIC.の仕事に携わるように。現在はDRIVEキャリア事務局、DRIVE編集部を通して、社会をよりよくするために活動する方々をかげながら応援しつつフリーライターとしても活動中。いろいろな人と関わりながら新しい発見をすること、わくわくすること、伝えることが好き。

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